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ポールの本棚
「この棚におさまった本も、ほとんどが仕事に関係したのばっかりだろ。 毒のある植物の図鑑から人体、料理、地質、美容手術の本まであるな。 一貫性がなくて、数冊あるのは釣り関係ぐらいか。古くて装丁のしっかりした本もあるけど、これって中央劇場でよくやってる、いわゆる古典ってやつだろ」
事件に関係するような本を買って読んでいった結果できあがった《本棚》のようだ。
前の殺人事件で調べた本棚を思い出し、ルイはなんだか安心した。
「だいたい、ポールはこの失踪事件が宗教がらみだと考えてベインに相談したんだもんなあ。そこからクラークにいって、バーノルド事件を知ってるあいつが『背中鬼』のことをひっぱりだしたんだもんなぁ」
「だからって《背中鬼》のことを、ポールが知らなかったどうかは判断できねえけどな。 『勘がいい』っていったって、どうやらポールは、『勉強』してそれをみがきあげるタイプみたいで、バートの『勘』とは別だ」
「なんだよ。おまえも《コウモリ》みたいに、ポールは《背中鬼》を知ってたうえに、その仲間だっていいたいのか?」
「 ―― さあな」