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A班ファイル ― コウモリは湿地でお茶する ―  作者: ぽすしち
ケンとルイは捜査をはじめる
141/251

№20 ― ジャンの母親 ―


「あのこったら、うまくやれてるかしら?」


「そりゃ、もちろん」

 

 ルイはだされたお茶に口をつけ、マリアの顔をみた。

 


 会社の催しやレイやウィルのパーティーで、A班は、ジャンの母親には、もうすっかり顔なじみにはなっている。



 マリアの眼はグレーがかったきれいな眼で、色白なその容貌は、若いころからもちあわせる神経質な面を内側から漂わせ、うすい唇には常に不安そうな笑みがうかぶ。



「ああ、ケンはちがう飲み物がよかったかしら?」


 カップに手をつけない男をみて、あわてたようにきく。


 ソファにおかれたクッションにはマリアが刺繍をほどこしたカバーがかかり、そこに記された聖堂教のおしえを、つまらなそうにながめていた顔をケンがあげた。


「いや、お茶で。それより、おれたちちょっと、ポールの部屋に用があんだけど」


 お茶の存在を無視した男は指で天井をさした。



「ええ、ポールからきいてるわ。さがしものをしてくれるんでしょ? ジャンとおなじ事件を担当することになったってきいたけど、 ―― なら、あのこが探しに来ればいいのに。兄弟なんだし、あなたたちの手をわずらわせることなんてないのに」


 いいながら思い出したように席を立つと、台所の棚の中からクッキーの缶をとりだしてリビングにもどってきた。



「おれたちのほうがヒマだったんです。 知ってます?ジャンはうちの班の副班長サブチーフなんですから、けっこう忙しいんですよ」


 ルイはケンにクッキーの皿をおしつけるようにわたした。

 受け取った男はしかたなさそうにつまみあげ、かじる。



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