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A班ファイル ― コウモリは湿地でお茶する ―  作者: ぽすしち
ケンとルイは捜査をはじめる

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140/251

兄弟


 車にのりこみ、ルイはこめかみをもんで息をついた。


「 ニコルからきいてたけど、びっくりだなあ。 ―― ジャンが、ポールのことを、おれたちにはなしたことあったか?」


「一度もない。存在をばらされたときだって、はなしを打ち切ったからな」


 めずらしく運転をかってでたケンが、さっさとエンジンをかけると国道をたどりはじめる。



「なんでかなぁ? おれ、兄弟いないからわかんないけど・・・、でも、客観的にみて、なんか、・・・ジャンのほうがひどくないか?」


「兄貴を嫌ってるからか?」


「だって・・・・・」

 ポールは『弟』を自慢までしている。




 ケンが先を走るトラックを楽し気においこし、さらにギアをあげた。


「なあ、ポールは、ほんとにジャンのこと好きだと思うか? まあ、おれたち会ってもねえから判断するのは早いけど、とりあえず、これだけははっきりしたじゃねえか。―― ポールは弟に嫌われてるって事実を、仕事仲間のだれにも言ってない」


 車はコート州をつきすすみ、ポールとジャンの母親の家をめざした。




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