当然の身内自慢
「そりゃ当然。 『優秀な警備官』が身内にいたら、誰だってほかに話したくなるだろ?」
フォーネルの問いかけに、すかさずケンがこたえる。
「そりゃ当然。 『優秀な警察官』が身内にいたら、話したくなるみたいにな」
そういうことだ、というように鳴らした指をこちらにむけるフォーネルをみて、ルイはあいまいな笑みをうかべてみせた。
どうやらポールとジャンでは、兄弟としての距離感が、かなり異なるようだ。
「またなにかあったら、すぐそっちにも連絡する。 ポールもこっちに来たばかりで、なにかと忙しいだろうからね」
たぶんいまごろ、クラークとゆっくり話し合ってるだろう。
こちらにきたばかりのポールが、いきなり『疑い』をかけられているとは、この若い警察官には言えなかった。
握手を終えるとフォーネルがきいた。
「あんたら、もうポールには会ったのかい?」
またしても、ケンがこたえる。
「おれはまだ。 ルイは? 《本物》のポールに会ったのか?」
「当然だろ。《写真》でみるよりずっといい男だった」
いいながらケンの脇腹に拳をあてて立たせ、時間をさいてくれた礼をいいながら席を立つ。
これ以上ここで、ケンの口をひらかせたくなかった。




