ポールの弟は『警備官』
「 《湿地》で指が見つかったときから、ポールは『ひっかかった』んだろうな。すぐに科学捜査部から資料とりよせたみたいだし、職場に犬つれて出てきたこともあったしさ。 ―― よく考えれば、あれが指をみつけた犬だったんだ」
「優秀だってのは聞いてたが、『勘がいい』ってのもつくんじゃ、ますますバートに似てんじゃねえか」
ケンがまたおもしろそうにルイをみた。
そこでフォーネルがなにかに気づいたように指をならした。
「 あんたたち、 『警備官』なんだな? 『バート』って、あの、むかし新聞にのったやつだろ?どうりで、見た目が若いなあって思ったんだよ。 あんたなんか、おれより絶対下だよなあ? ―― そうかそうか、ポールだから、ジャンつながりで来たんだな?」
『絶対下』と指さされたケンが、むっとしたまま黙っている。
フォーネルは、それにかまわずに、仲間にむける笑顔をみせた。
「なんだよ、最初からそう言えよ。 おれたちは、いつもポールから弟のはなしをきいてるから、『警備官』に変な偏見なんか持ってねえからさ。 ―― なんだ、そういうことか。さっき言ってたけど、ポールが『つけられて』たってことは、狙われてるんだな? そこで、あんたら『警備官』が捜査にくわわったってことか」
「 えっと・・・、べつにポールが狙われてるんじゃないんだけど、 まあ、うん。 おれたちが、この《失踪事件》の《補助》にまわることになったんだ。 ――― ジャンって、そっちの班内じゃ、かなり 有名 なのかな?」
ルイが念のためのようにきく。




