ポール班のやりかた
「 ああ。だけど、そのきっかけは、誰のもんかもわからない指だけだよな? ポールは、ふだんから、そういう『細かい事件』に、こだわるような男か?」
「まあ、いわれてみれば、今回はすごかったかな・・・まあ、でもポールはへんに勘がいいとこがあるから、ひっかかると、ときどき単独で捜査しはじめるときがあるんだよ。 まえも、娼婦が薬のやりすぎで死んだのが何件かあって、それ捜査して、殺人犯人あげたし」
「ひとりで捜査して?」
おもわずあやしむような声になったしまったルイを、フォーネルはにらんだ。
「 だから、うちは人手が足りないんだって。 おれたちに、っていうより、ボスに気づかれないようにポールはひとりで動く。事件のかたちがはっきりするまで、細かいことは教えてくれないんだ。でもおれたちはポールのこと信頼してるからさ。頼まれたことは協力する」
「今回頼まれたことは?」
ケンがカップの取っ手ではなく、ふちを持ちあげてコーヒーをすする。
行儀の悪いこどもをみるような顔を、フォーネルはケンにむけた。
「 《メッセージ》から相手をたどるのを任された。 ターナーからハットンへの道筋をポールが見つけたから、あとはそういう『道』がないかどうかを、失踪したひとたちの端末で探すだけだったから、時間はかかったけど、わりと楽だったよ」
どうやら本心からの感想のようだとルイは感心する。
あふれる量の仕事をもつ『警察官』のなかには、時間のかかる作業を嫌い、手を付ける前から無駄だと決めつける者もいる。