人手不足
「 おまえらさあ、ポールがどんなやつだ、ってきくからこの話してんだぜ?」
ちゃんときいてるか?とフォーネルが身をのりだす。
せまいテーブルの上でルイとケンのカップがゆれた。
コート州の警察本部からはかなり離れた場所にあるダイナーは、国道を利用する客たちでぼちぼちの混みようだった。
クラークから、ポールのことを調べてくれといわれた警備官たちは、すぐにサリーナ経由でフォーネルという男に連絡をとり、ここに呼び出した。
「 ―― だいたい、ターナーの車はどうなったんだよ? 事故ったってきいたけどさ、証拠品として、はやくこっちに返してくれよ」
「ああ、それならサリーナからまた連絡いくだろ」
「事件の新しい情報も教えてほしい。ポールはそっちと情報交換で協力してもらうって言ってたけど、うちのボスが正式に了承してないから先に自分一人でいくって言って、おれたちに、まだなんにも教えてくれないんだ」
ポールの班だという四人の仲間には、『失踪事件からやっぱり殺人事件になりそうだ』ということしか連絡がきていない。
「 ―― まあ、ほかの事件もあるから、ボスもこれ以上人をやりたくないってのもわかんだけど、こっちで起こった事件をそっちにもってかれるのもなあ・・・。 ったく。うちは事件が多いし、いつでも人手不足だよ」
ため息のようなものといっしょに、カップの中身を飲み込む。