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恋愛相談を・・・


 本来『害』はなくとも、このまま噂となって広まれば、どこかで《何かの害》にはなるだろう、とウィルが考えていると、むかいの新人が、ちらちらとこちらをうかがい、何度か口を開け閉めしている。



 そのまますこし待っていると、 《そういえばいま思いついた》 という顔で、話しかけてきた。


「  あのさあ、 ・・・ウィルって、同性とつきあったことって、あるの?」


「いいや。 ―― どうした、突然」


「まあ、つきあった人間の『数』でいえば、 おれの知り合いで一番かな と、思ったんで、 ちょっと・・・・・ 意見きいてみたい、って思ったんだよ」


 めずらしく目をそらして、あくまでも《軽いはなし》であるようにみせかけようとしている。

 



 こりゃ、マジメな相談だな。


「へえ。 ―― このぼくを相談相手にえらぶなんて、なかなか人を見る目があるね。 で? こんど好きになったのは、どこのどいつだって?」


 この新人が入ってすぐに《恋心を抱いた》のは、自分の上司にあたる男の婚約者で、それをしらなかった彼に現実を教えてやったのは班の仲間だった。



 叫び声をあげるほどショックだったようだが、恋敵が憧れの《チーフ》となれば、立ち直りははやく、今では酒の席で定番の冗談として定着している。




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