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血のつながらない
「ポールがおまえらの仲間なわけねえじゃん」
「おれだって《背中鬼》と同じ仲間なわけじゃないさ」
指をさされた小柄なジョーも、むっとしたように言い返す。
「人間に《わるさ》するってことじゃ同じだろ?」
「おれはしないって、さっきから言ってるだろ?」
「ジョーのまねしてるやつが言うか?」
「これは『特性』なんだ。好きでやってるわけじゃない」
「とにかく、ポールのこと何も知らないくせに悪くいうな」
「おまえだってろくに知らないだろう?」
「おれは知ってるよ。いっしょに仕事もしたし、穴から助けてもらったし、たしかにジャンの兄貴ってかんじだし」
「ほら、知らない。 ―― いいか、あの男は、あそに立つ男の、《血のつながらない兄貴》だ」
「コウモリ、違反だぞ」
本物のジョーが重い声でさえぎる。