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尊敬する班長
自分が所属する強硬隊A班の班長は、憧れを抱いていたイメージから、かなしいほど遠く、仕事には熱意をもっていない。
―― いや、場合によるが。
自分、および家族、および仲間がかかわることや、自分の基準とする《腹のたつこと》にふれる場合には、即行動、すみやかに解決、と動くのだが、 ―― それいがいのことには、ひどく無関心で、動くことをいやがる。
こどものように、『かえりたい』と口にもする。
はじめはおどろいたザックだったが、いまではそれをふくめてもチーフを尊敬しているし、それ以上に、班の仲間を尊敬している。
「じゃあ、ジョーには言ってないんだ」
「いや、おれが念のためきいたけど、《害》はないだろうってさ」
この世界の『魔女』や『悪鬼』について、いろいろとくわしい『元聖父』の男は、電話でわらいをふくんだ声で、問題になるような《害》はないだろう、と言い切った。