11/251
誠実コンビ
二人で話し合った結果、当事者がお年寄りだし、病院の帰りだって言ってたし、家族も苦笑しながら、いつも変なこといいだすんです、なんて言ってたし、あやふやだから、この『コウモリ』は事件とはしない、 ということになったのだが、なにしろジャンとニコルという《仕事に誠実なコンビ》だったので、その日の報告書にはニコルの几帳面な字で、『コウモリ』のことが記載され、それを後日読んだウィルが、ニコルとジャンに、自分もおなじようなはなしをきいた、と手をあげた。
顔を見合わせた三人は、しかたなく班長のところへ行ってことのしだいを説明し、念のため、このところ世話になっている『元聖父』に、『コウモリ』について相談するべきかの判断をあおいだ。
※※
「バートに? おれ、しらなかったけど」
不満そうにザックがテーブルをコツコツたたく。
「うちのチーフは『ほっておけ』って言ったからね」
「ああ、なるほど」
うなずくようにコーヒーをのむザックもこのごろではすっかり慣れてきた。