魂を写す
そりゃとうぜんだろ、と得意げに《ポール》が眉をあげる。
「 人間でいうところの《ものまね》じゃねえんだ。 おれたちは、《欲された》人間が実在するときは、そいつの《魂》を見つけて、《うつす》んだからな。 そいつがどんな人間かも、すべてわかってるんだ」
「『すべて』ってのは、ほんとうにぜんぶってことか?」
クラークの質問に《ポール》になった《コウモリ》が得意げな顔で微笑んだ。
が、サリーナににらまれて、すぐに咳ばらいをしてごまかす。
「 ―― まあ、なにしろ《魂》をみるんだからな」
「そいつが死んでたら?」
「よくあるよ。死んだやつに会いたいって人間は多い。 もちろん、問題ねえよ。死ぬまでの記憶もしっかりある」
「それならここで、おれたちが全員、『本物のターナー』のことを《欲したら》、おまえはその姿になって、どうやって死んだのかも、おれたちに教えられるってことだ」
「そ・・れは、いや、―― だめだ。やめてくれ」
苦し気な声をだしながら、椅子から腰をうかせたので、クラークも立ち上がる。
「待て。逃げねえよ。 ただ、―― ターナーの《魂》には近寄れない」
コウモリは椅子から半端な高さに立ったまま、情けない声をだす。




