№15 ― 告白 ―
「 こりゃ、 ・・・びっくりだ 」
ニコルはそう言ってそこに立ち止まり、ポールになった男をじっくりとながめた。
「 なるほど。 ジャンと、十ぐらい離れてるってきいてたが、いい男ぶりだな」
ノアは近くによって彫像をみるようにポールになった《コウモリ》のまわりを歩いた。
会議室にはノアとニコルもよばれ、状況を説明されると、『本物』のポールを知っていたニコルは、そこにいるのが『偽物』だときいて立ち尽くし、ノアは好奇心むきだしのこどものようにじろじろとながめまわした。
椅子に足を組んで座る《ポール》はいごこち悪そうに腕も組む。
「じゃあ、 ―― さっさと『告白』してもらおうか」
机にこしかけて足を組んだウィルが片手をふった。
《コウモリ》は腕をくんだまま、自分を囲む人間たちの顔をながめまわし、「ちくしょう」と小さく毒づいた。
「 しかたねえから『告白』するけど、・・・《ここ》でやったのは、人間の姿に化けて相手を騙して世話になるくらいのことだ。 さっき言ったように、相手の人間もたいてい喜ぶし、ひどいことには・・・あまりならない。 何度か、女が刃物をもってわめきながら、どなりこんできたってのはあったが、ありゃ、人間独特の 愛情表現 なんだろ?」
「 なんてこった。・・・声までポールだ」
その声でそのしゃべり方はやめてくれ、とニコルがなぜか自分のくちもとを両手でおおう。