ファイル№01 ― 大音量 ―
警備官と警察官が事件を解決する世界のはなし。まいど設定ゆるふわですので、薄目でごらんください。
サリーナの活躍。ザックの新しい恋。ジャンの兄弟仲。
そのへんがいりまじった《鬼ごっこ》のはなしとなっております。
よろしければ、おつきあいください
大音量の音楽をもらしながらその車がスタンドにはいってきたとき、サリーナは恋人と目的地に向かう途中だった。
一度も洗車したことがなさそうな汚れをまとった大型の四輪駆動車は、このあたりではよくみかけるかたちで、後ろにはピックアップトラックのような、せまい荷台がついている。
サリーナのまたがったバイク横すれすれを、急な角度で曲がった車のライトがなめるように通り過ぎ、奥にある給油機近くにとまる。
音楽はとまったが、運転手はなかなかおりてこなかった。
「おまたせ。 ―― どしたの?」
恋人が彼女の赤い髪をなでてビンのジュースをわたす。
シートの後ろにこしかけると、サリーナが見ている汚い車に気づいた。
「もしかして・・・、手配中の盗難車だとか? でも汚くて、ナンバーがみえないわね」
サリーナはこの州の北に隣接する州で、《警察官》という仕事についている。
私生活では、なるべく仕事のことは忘れようとするのだが、もとからの正義感が多少つよすぎるため、デート中に仕事関係のことに首をつっこむことが度々ある。
恋人は、そのたびに「しかたないわね」と苦笑しながらもサリーナの《正義感》をほめてくれる。
今日は、新しく手に入れた大型排気量のバイクの乗り心地を楽しむために、せっかく南隣の州までやってきたのに・・・。