それってあなたの感想ですよね?
婚活アプリで知り合った子が、めちゃくちゃ可愛かった。なんせプロフィールを偽っていないし、写真通りなのも好感が持てた。
名前は高宮翔子。都内の食品関連のメーカーで事務職をしているらしい。某ファストフード店の小麦粉なども自社で取り扱っているらしく、何だか自慢気に語っていた。
会った場所は綺麗なカフェだった。昭和レトロ風の雰囲気のカフェで、ステンドグラスの窓もオシャレだった。この店も翔子が良いと指定してきた店だった。
二人で雑談しながら、プリンを食べる。硬めのプリンで、美味しかった。翔子もニコニコ顔で、実に幸せそうにプリンを食べていて、和む。
「あー、でも太っちゃう。結婚相談所のカウンセラーにも、あんまり食べるなって言われてるんです。あと、ブスとか超言われるんです」
「え、マジで?」
信じられなかった。まあ、多少ポッチャリはしているが、毎日ニコニコしていそうだし、理由もなく不機嫌になっている所などは想像できない。
「自分でもブスだと思う」
「いや、でもしれって、あなたの感想ですよね?」
某インフルエンサーの流行語を言ったりしてしまう。俺は一応サプリメントの会社でマーケティングの仕事をしているからわかる。宣伝とは「あなたは何コレが足りていないから、ウチの商品を買え!」というものだ。こんなカラクリを知ってしまうと、美しく見える体重、顔などは、意図的に作られたものではないかと思い覚めてくる。脱毛、二重、脂肪吸引などの広告を見ると、「それってあなたの感想ですよね?」と言ってやりたくなる時もある。
「えー、あなたって結構面白い人だね」
「よく言われる」
「えへへ」
何だかんだ二人で、盛り上がってしまい、結婚した。結婚後は夫婦揃って幸せ太りして、同僚や親に笑われたが「それってあなたの感想ですよね?」と言うしかない。まあ、健康診断で引っ掛かったら不味いので、自社のサプリメントでも飲むとするか。