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面白い女〜不思議な溺愛物語〜  作者: 地野千塩


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理解ない彼くん

 石沢理宇とは、婚活アプリで知り合った。自分と同じ歳ぐらいのアラサー男だったが、顔がよかった。


 なぜかアプリ内では人気がなかった。「コロナは茶番。ワクチンは獣の刻印。未接種者求む」などと陰謀論を繰り広げていた為だろう。


 陰謀論なんて厨二病のアタオカだと思ったが、会ってみる事にした。私も偶然にもワクチンを打っていなかった。コロナになってから会社がクビになり、婚約破棄され、父親が詐欺で逮捕。泣きっ面に蜂といえる状況でうつ病を発症。接種会場まで行く気力がおきず、スルーしていた。それでも結婚したら専業主婦になれるんじゃないかと甘い考えもあった。婚活と精神病院への通院はできるという歪な状況だった。


 医者に出された薬を飲むと、なぜか心のリミッターが外れる。万能感があったり、婚活もモテモテだという妙な妄想もしていた。ぶっちゃけ、死ぬのも怖くなくなっていて、時々線路の中に入りたい衝動にかられた。


 理宇とは自然派オーガニックカフェであった。理宇の常連の店だという。一見オシャレな店だったが、ワクチンの危険性を訴えたチラシや黙食を反対するポスターが貼ってあった。


 頼んだメニューは米粉のパンケーキ。みたらしソースがかかっていたが、メニューによると意識高い高級オーガニック醤油で作られたという。みたらしソースはてりてりと輝き、甘じょっぱさとほうじ茶があった。


 違和感を持ちつつも心のリミッターが外れている私は、理宇に調子を合わせ、ワクチンは獣の刻印という陰謀論に耳を傾けていた。聖書で預言されている獣の刻印がそうだという。


「えー、でも聖書の終末と今って本当に同じ時期? 巻きすぎじゃない?」


 私がツッコミを入れると、理宇は一瞬ムッとしていたが、このトピックで盛り上がってしまい、食品添加物、芸能人の悪魔崇拝、古代の生贄儀式、信用創造と金融詐欺、フラットアースなどなど怪しいトピックに逸れていく。


「それと、精神科だけは行くなよ」

「え?」


 なぜかトピックが精神科の薬になった。


「俺は薬漬けメンヘラがすぐわかるんだよ。目が死んでいて、心のリミッターが外れていて妙に行動力がある。酷い場合は犯罪やテロ行為、悪い場合は自殺に発展するかもな」

「え、ちょ」

「手の震えもあるかもな。10年以上薬漬けにされるとプルプルいってる。糖尿病、癌も併発してるケースもあるかも。薬害の可能性大」


 まるで私の病状を見透かしているようだった。冷や汗が流れる。病気は隠し、騙して結婚しようと企んでいたのに。


「俺はああいった病気に全く理解はないね。そもそも精神障害と言われてもいるものは、多くは薬害だ。または栄養失調と虐待などの環境の悪さ、あとスピリチュアルとカルトにハマるとなりやすい。偶像崇拝と精神疾患はセットよ。病名も製薬会社がテキトーに決めてるし、薬の副作用が自殺だぜ? 馬鹿にし過ぎだろ。医者と製薬会社が儲ける為にあるものだ」

「え、そんな」


 驚きが隠せない。医者は副作用のリスクなど一秒も説明せず、いつも診察は一分程度だった。


「いいか、少しずつゆっくり断薬してけ。錠剤を半分に割り、ゆっくりゆっくり減らそう。いきなり全部断薬するのは逆に悪化するから絶対やったらダメだ。このままだと一生薬漬けだ。貧困ビジネス化した福祉業界にもカモられるぜ? 企業や福祉施設の入る税金は、別に障害者の自立になーんの役に立ってない中抜きだからな。入院になったら人権すらなくなる可能性だってある。まあ、どうしてもお金に困って生活保護とるために行くはOKだ。ただし、診断書を貰っても薬だけは飲むなよ。精神科からは診断書だけ貰って薬は捨てろ。精神科医はそれぐらいの価値しかないんだわ。治らない病気だって洗脳して絶対に完治なんてさせないからな。作業所とかの福祉も全力で拒否しろよ」


 そんな事言われたって。


 ムッとした。


「どうせ、くっだらない陰謀論でしょ」


 頭にきた。私は捨て台詞を吐いてカフェを後にした。


 ただ、時間が経つにつれて、彼の言うことも気になり、ネットで自分が飲んでいる薬を調べてみた。


「は? どう言うこと? 副作用自殺って本当に書いてある……」


 調べたらそんな情報が出てきた。医者にこのことを問い詰めると、目が泳いでいた。急に早口なり、カタカナ用語と専門用語を連発しながら「ネットを見るんじゃない」という。


 怪しい。


 その後、医者が高級スポーツカーに乗っているのを見た。子供をインターナショナルスクールに入れたという噂も聞いた。


 やっぱり理宇の言っていた事は本当?


 彼は断薬の仕方も言っていたが、忘れてしまった。急いで婚活アプリを開き、彼に連絡をとる事にした。


 自分の病気を理解してくれる様子は無い彼。全く甘く無い、しょっぱい彼。


 でも、それだけでは無い気がした。


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