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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

ドン☆パチ

にゃーん

「にゃー」


 セーラー服を着た赤髪の少女は姿勢を下げて刀を抜刀する。


「なんだテメェ」


 スキンヘッドの頂点にドラゴンのタトゥーを入れた男が拳銃を片手に少女を睨む。


「にゃー」

「チッ!」


 会話が成り立たないことが分かると、男はすぐに発砲した。


「にゃ」


 少女は短く鳴くと目にも止まらぬ速さで男の視界から姿を消した。飛んで行った銃弾は地面のコンクリートを抉って火花を散らした。


「ッ!」


 気が付くと、手に持っていた拳銃が銃身から綺麗に切断されていた。


「にゃにゃー」


 馬鹿にするかのような鳴き声に後ろを振り返ると少女が地面に膝を付いていた。伸ばした右腕に持つ刀の上には拳銃の半身が乗せられていた。


 首を後ろに向けて勝ち誇った笑みを浮かべると右腕を動かして切り落とした銃の半身を細かく切り刻んだ。


「この野郎!」


 男は銃だった金属片を捨てて拳を振りかざした。少女は瞬時に刀を納刀。跳躍して拳を回避した。


「すばしっこいヤツめ」


 悪態を吐くと近くに落ちていた鉄棒を拾い上げた。再び切断されるだろうが、何もないよりはマシだ。


「にゃー」


 少女は大きな目を蘭々と光らせて再び抜刀した。


「にゃーーーーーーーー」


 息を吐くような低い鳴き声を建物に響かせる。刀を口に挟み、四肢を広げて地面を強く掴んだ。噛力の故か、口から大量のヨダレが滴り落ちる。


 男は足を一歩引いて身構えた。


――――来る。


「ガグゥ!」


 少女は瞳孔を開いた血走った眼で地面を蹴った。コンクリートは蜘蛛の巣状に割れ、破片が飛び散る。


 本気の突進に鉄棒が敵うはずがない。


 一か八か身体を左に傾け、倒れ込むように攻撃を避ける。


「うぉッ!!!」


 どうにか彼女の一撃は回避した。しかし、すれ違い様に発生した風圧により男は吹き飛ばされてしまった。ぐるぐると視点が回転するなか右肩から壁に衝突して地面に落とされた。


「……あんなのヒトじゃねぇ」


 少女の通った道はコンクリートが剥がされ、直進した先の壁には丸い大穴が開いていた。


 男は痛む身体を無理やり起こして大穴の方へ向かう。


 壁の向こう側では満月の明かりだけが周囲を照らしている。


 月の下に、短いスカートを揺らしている少女が立っていた。傍らでは地面に刀を突き刺していた。


 少女は月を見上げて大きく口を開けた。 


「にゃーんにゃーにゃにゃーん♪」


 楽しそうにリズムを奏でる。


「にゃーん、にゃにゃにゃーん♪」


 男は笑う膝を地面につけて月夜の一戦に敗北を認めた。


「にゃんにゃーん、にゃにゃーん♪」


 瞳に月を宿した怪物は歌声を世界へと轟かせた。




にゃーん

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