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The Math Book  作者: Wam
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そっけないバレンタインデー

二月十四日がバレンタインデーだからといって特に塾には変わった様子はなかった。前に塾に来た時に「次の授業は二月十四日、バレンタインデーだね。」とある男の先生が嬉しそうに言ったので、その日は塾で何か起こるのかと思っていたがどうやら何にもなかったらしい。今考えればそれもそのはずだろうと思う。なぜなら塾とは勉強をしに行く為の場所であり、別にイベントが催される所ではないのだから。

 

 約二週間ぶりに再会したZ先生だったが特に変わった様子もない。

 塾のドアを開けた瞬間に受付に立っていたZ先生と目があったがそっけなく

「こんにちは」と挨拶をされただけだった。

 本格的に始まった授業。久しぶりにあったせいかかなり緊張していた。

初めての授業の時はなんでもなかったのに人見知りが発動してしまい、なかなかZ先生に話しかけられずにいた。Z先生には特に変わった様子はなく、淡々と問題の解説をこなしていた。会話があったとすれば、


「あれ?はなこさんって部活何入ってるの?」

「あ、帰宅部です。学校忙しいので」

「あ、そうなんだ」


・・・の様な本当に簡単なことだった。

正直もうあれから2年以上が経過しているのでこの二月十四日の記憶は曖昧である。

でも当時はまだぎこちなさがあったこと、それだけは確かである。


 あと、たった一つ覚えていることがあるとすれば、隣の教室にいた自分と同い年か年上くらいの少女ががたいの少し良い男の先生にチョコレートをあげていたことくらいである。


「先生、これ友達にもらって余っちゃったからあげるよ〜」

「え、まじで言ってる? いいの?」

「うん、全然。ほら余っちゃってるし」

「まじか、ありがとうございます」


 Z先生の顔色を伺ってみた。特に変わった様子はない。平静を保っている。

というか、もしかしたら彼らのやりとりに気がついていないのかもしれない。

 人見知りではあったがなんとなく面白そうだったのでZ先生に

「先生、今日はバレンタインデーですね。」と言ってみたが、

 Z先生は「あ、そっか。今日バレンタインデーか。」と冷たく返すだけだった。

 きっとチョコレートをもらってもなんとも思わない人なんだろうと思った。


 この時の授業で気がついたこと。それはZ先生がそっけない人であること。

 確かに挨拶もちゃんとしてくれるし話しかけてくれることもあるが、Z先生は反応が傷つきやすい私にとっては非常に冷たく感じた。

 後々そんな彼の薄い反応に慣れてくるのだが、なかなか彼の冷たい態度を受け流すことは私にとっては至難の技だった。

 あの時はZ先生がそっけない反応をした日は帰ってから布団に入るまで自分のとった行動や言動に反省していた。

 

 だいぶあとの話ではあるがZ先生に何か私が悪いことをしたからそんなに反応が冷たいのかと問い詰めてみたことがある。しかし、どうやらそう言う訳ではないらしい。このことは後に触れることになるだろう。

 

 Z先生だったら絶対引いてしまうと思うけど当時から私はZ先生のことが大好きだったのだ。

 どう言う意味かもわからずに。

 

 

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