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The Math Book  作者: Wam
23/94

お互いの実年齢

Z先生って何歳なんだろう。


 これは入塾したときからずっと疑問に思っていたことである。




 数ヶ月間、Z先生と一緒にいたが年齢を聞いたことがなかった。


 というよりかは怖くてずっと聞けなかったと言った方が正しいだろう。


 それでもやっぱりZ先生の年齢が気になっていた。




 そして入塾してだいぶ経ったある五月の休日、思い切ってこれを誰かに相談することにした。「誰か」というのは、私の実の姉である。彼女と私は12歳年が離れており、早くに家をした姉にはすでに幼い娘が一人いた。




 この日はたまたま我が家に遊びに来てくれたのである。といっても姉はちょくちょく遊びにくるのでなかなか会えない、という訳ではなかったがZ先生の話をすることが恥ずかしくてずっと相談できていなかったのだ。




 最近塾はどうなの?と姉に尋ねられ、ここでZ先生のことを話すしかない、と悟った。




「私さ、塾の先生の年齢きになってるんだよね」




「年齢?」




「そう。でもそういうのってタブーかもしれないじゃん?塾のルールとかでだめとかだったりして」




 ソファに座っていた私の横に、姉も一緒に腰を下ろした。




「全然聞いていいと思うよ、年齢くらい。私が塾に通ってた時は普通に先生に年齢きいてたけどな」




「え?そうなの?」




 意外な答えに驚く私。




「うん。はなこの先生は男の先生?女の先生?」




「男の先生だよ」




「なら全然いいと思うよ。私なんて女の先生だったけど、普通に年齢聞いてたし。さすがに大学とか職場とかは聞いちゃまずい思うけどね」




「そっか」




「今度会った時にでも聞いてみるといいよ」




「わかった、ちょっと聞いてみる。ありがとう、お姉ちゃん」




 そしてその後にもしばらくZ先生の話をして盛り上がっていた。





 そしてこの週もZ先生に会う日がやってきた。


 いつもの様に教室に一人座っているとZ先生がやってきて授業が始まった。


 この時は因数分解の応用を教わっていた。苦労しながらもなんとか因数分解を習得しかけている時だった。


 何気ない会話でZ先生を誘ってみる。




「Z先生って何歳なんですか?」




解説していた手を止めるZ先生。




「俺?俺二十歳だよ。え?何歳に見える?って言っちゃったか・・・」


 


 すでに口が滑ってしまったことを後悔している様子。




「え!?そうなんですか?私、いつもZ先生が疲れているのでてっきり80歳とかかと思っちゃいました」




 いたずらっぽく言った。悪気は全くない。




「それはさすがにないわ、こう見えて俺、まだ若いから」




 逆にZ先生が私のことを何歳だと思っていたのか気になった。




「え?私、何歳だと思いましたか?」




「80・・・」




「それはひどすぎますよ、先生!」




「え!?だっていつも疲れた疲れたっていってるじゃん!だからてっきり80くらいかと・・・」




 私がさっき言ったこととほぼ同じことを返され、私は思わず苦笑いをした。


 そして視線の先をZ先生から教室の壁に移す。




「それにしても先生はいいですね」




「なんで?」




「だって二十歳ってお酒が飲めるじゃないですか」




「ああ、そっちね!まあ確かにそうだけど。え?まじで?お姉さん、お酒飲みたいの?」




「はい、お酒飲みたいです。美味しいですか?お酒って」




「美味しいよ、まあものによるけど。カクテルとか?は結構美味しいかな?」




「ジュース見たいなやつですか?」




「そそ、ジュースみたいなやつ」




「お姉ちゃんが美味しいって言ってました」




「ああそうなんだ。お姉ちゃんいるんだ。お姉ちゃんいくつなの?」




「十二歳離れています」




「結構離れてるんだね」




「そうなんです。お姉ちゃんがお酒飲んでる所を見てきているんで、早くお酒のみたいんです」




「あ、そうなんだあ、でも俺は逆に子供に戻りたいけどなあ」




「私は早く大人になりたいです。交換しませんか?」




「いや、どう考えても無理だろ!」




 二人で目が合って、声をたてて笑った。




 そっか、私とZ先生は5歳離れているんだ。




 ってことは私が小学一年生の頃、先生は小学六年生。




 今でさえ、5歳の差ってかなり大きく感じるなあ。




 でも、世の中にはそれくらいの歳の差とかそれ以上の人と一緒に仕事をしたり結婚をするのはなんでなんだろう。




 不思議だ。




 私はZ先生としばらく他愛のない会話を交わしながらも、ぼんやりと疑問を持っていた。

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