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お披露目

 夜、スナックでその曲のお披露目会があった。

南ママが自宅でスマホに曲を録画して持ってきてくれた。

イントロはピアノから始まるダイナミックなメロディ。

サビへの期待感が高まる。

次にAメロ。

悲しげなマイナーコードによる編成。

そこからBメロに移行し、坦々としたピアノの音とは裏腹に、俺の書いた歌詞は熱を帯び始める。

そしてサビ。

南ママがその部分の説明をする。


「サビはずっと昔、この曲でデビューするんだって気合入れて書いたのを引っ張ってきて使ったわ。 結局、曲をレコード会社に持ってく前に父親に莫大な借金があることが発覚して、家追い出されちゃったんだけどね~」


 カレー主が、勿体ねぇな、と呟く。


「父親の借金がなけりゃ、もしかしたらこの曲でデビューしてたかも知れねぇのか。 なぁ、猿彦、お前、ありがてぇ曲だぜこりゃ」


「……」


 いつの間にか馴れ馴れしく猿彦と呼ばれることにかなり違和感はあったが、確かにこの曲の、特にサビ部分は良い。

ヒットソングにあるような、心を鷲づかみにされるようなサビだ。

俺はカレー主を立たせて、無理矢理頭を下げさせた。


「ありがとうございます、朝倉さん」


 俺も同時に頭を下げると、ママは照れ草そうに言った。


「やめてよ、どうせお蔵入りした曲だったんだから。 披露する機会を貰えて、むしろ私が感謝したいわよ」


「……で、誰がボーカルを取るかだが」


 いよいよその話題に入ると、俺はすぐに手を上げた。

クラスのみんなへの借りを返すというなら、歌を歌うまでがセットだろう。

隣の先輩がギャーギャー喚いて、「俺が歌う!」とかそんなようなことを言っているが、当然、他の2人には聞こえない。

カレー主が言う。


「たりめーだろ、俺はドラムで、ママはピアノ。 お前しかいねーだろーが」


 曲と歌詞が決まれば後は練習するだけ。

こうして、いよいよ披露の日がやって来た。

場所は駅前の広場だ。

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