プロジェクトスタート
カレー主、ドミノをノックアウトし、晴れて俺はこの店のプロデュース権を手に入れた。
「寝てる暇はないですよ、すぐに準備に取りかかってもらいます」
「イテテ…… 準備って、何すりゃいんだよ」
アッパーをまともに食らったカレー主は、顎をさすりながらどうにか立ち上がった。
カレー主にはシェフを務めて貰うが、まずは食材の買い出しが必要だ。
俺はメモを取るよう指示し、カレー主はポケットからスマホを抜き取った。
「何を買ってくりゃいんだ」
スマホのメモ機能を使うらしい。
俺は、華麗なるカレーパンのレシピを口頭で伝えた。
すると、カレー主が素っ頓狂な声を上げる。
「……パイナップル!? そんなもん使うのかよ。 缶詰のでいいのか?」
「ああ、それでいい」
カレー主はリンゴでもいいじゃねぇか、と呟いたが、それではバーモンドと同じ味になってしまう。
それなら初めからバーモンドを使えばいいし、そんなものを改めて店に来て食べる人間は少ないだろう。
レシピを伝えると、今度はドミノの方に向き直る。
「あなたには広報役を担って頂きたい」
「……へ、俺、何かすんの?」
バイクの提供要員で、このままフェードアウトするかに思われたドミノだったが、せっかくの人手だ。
彼にも手伝ってもらう。
「商品の宣伝役。 あなたがこの店に来た時、鼻歌を口ずさんでいましたね」
「ああ、ドーミノっ、ピーザ、だろ?」
いや、そのスタンダードな方じゃない。
マックのパクリソングだ。
「ちょいドーミノ~、って奴です」
「あー、そっちな。 で、それが何だっつんだよ」
「配達する際、キャッチーなメロディに乗せてこのカレーパンを売り出せば、流行ると思いませんか?」
石や~き芋~♪、でお馴染み、石焼き芋屋、その手法を真似た販売戦略だ。
ドミノは明るい表情で言った。
「それなら得意だぜ!」




