ドミノ登場
「華麗なるカレーをお持ちしましたよ」
俺はキメ顔を作り、腕を組んで斜めの角度で相手を見やった。
そのセリフを聞いて、カレー主(名前忘れた)の表情が変わる。
「……なるほどな」
男はすっくと立ち上がり、人差し指をこちらに向けた。
「カレー対決、そういうことだろう。 もしお前のカレーの方が上手ければ、お前の勝ち。 俺のバーモン…… オリジナルカレーが勝利したら、えーと、どうなんだ?」
「……大人しく引き下がります」
「……了解だ」
お互い、何を賭けて戦うのかよく分からないまま、勝負が始まろうとしていた。
その時だった。
入り口の方からこんな歌詞が聞こえてきた。
「お腹がすいたらちょいドーミノ~、お腹がすいたらちょいドーミノ~…… なんだこの歌」
振り向くと妙な男が窓際にもたれかかっていた。
俺は、逆にこっちが聞きてぇわ、というセリフが喉元まで出かかった。
相手は、パーマをあてがった頭髪に赤いチェックのネルシャツ、ジーンズという出で立ちだ。
年は40、と言った所か。
ドミノピザのチラシと思しきものを折り畳んで手にしている。
俺とカレー主の視線が集まると、男はこう言った。
「その勝負、俺も混ぜさせて貰うぜ。 申し遅れたが、俺の名はドミノ。 もし俺が買ったら、この店を俺の拠点にさせてもらう」
カレー対決だというのに、何故が乱入してピザで勝負するというこの男。
だが、相手がドミノピザ、というのなら、戦わない手は無いだろう。
俺は、それならば、と相手に条件を突きつけた。
「もし私が勝ったなら、あなたの配達用のバイクを頂きたい」
「ちょ、待てよ! バイクなきゃ配達できねーじゃんか」
「じゃあ、やめますか」
「いややる」
こうして、ピザVSカレー対決の火蓋が切って落とされた。




