世界樹の都を目指して
世界の広さを見つめ彼女を救うため、
一匹の猫が立ち上がった。それは彼女のためであり、自分の冒険でもあるのだ。
西の外れの国 ワーンルランドネフリヒ 王宮 王女寝室にて
「ねぇシロこの国のずっと東には世界樹の都があるの、そこに行けばあなたとお話しできるようになるかもしれないわ!」
レノン様は僕を膝に乗せ、優しく語りかけた、日差しの心地いい日だった。
「世界樹の都には導きの聖獣がいて、良心の深い者には一つだけ願いを叶えてくれるそうよ。とっても素敵な話だわ。私の願いはたった一つよシロ、あなたとお話しすることだわ!」
そう言って僕の背中をゆっくり撫でてくれた。
僕の名前はシロ、レノン様がつけてくれた名前。きっと毛が真っ白だからだと思う。
レノン様はとっても優しいくて、薄紅色のキラキラした髪の毛と青く大きい目の少女。
レノン様が10歳のとき怪我をして弱っていた僕を宮殿の中庭で見つけてくれた、それから6年間一緒に暮らしている。彼女は体が弱く、宮殿からは出られない。
毎日分厚い本をたくさん読んでいて、僕に面白い話を聞かせてくれる。お菓子の国や時を止める角笛、そして世界樹の都、人魚の楽園なんかも、たくさんのことを教えてもらった。
この世界には沢山の国があってその中に人々が住んでいて、僕の見ていた世界なんてほんの小さい世界だったって教えてくれた。僕は世界を見てみたい。叶うならば人間のような大きな脚と背中が欲しい。そしたらレノン様をおんぶして連れて行ってあげるんだ大きな世界に。そしたら喜ぶだろうな〜。
そして僕が世界樹の都に行けたならきっと、きっとレノン様の体がよくなります様にとお願いする。
僕はレノン様が大好きなのです。
月夜の晩
ドドドドドドドド(宮殿傭兵の走る音)「大変だ!レノン様が危ない!」
「どうしてお前こんな時間にレノン様が敵兵に狙われてる事がわかったんだ!」
「真っ白い猫が俺の部屋に来て叩き起こしてこう言ったんだ、敵兵だ!助けてレノン様が危ない!って」
「本当かっ!信じられないが今は急ごう」
少し前
「今日はなんだか寒いねシロ、何かよくない何かを感じるわ」
「にゃーーーー」
今日はどうもおかしい。
今日はレノン様のお部屋に新しい護衛兵がついた。前の護衛兵が体を崩し何日も王宮に来れなくなったため、新く就いたのだ。いつもは護衛兵4人体制で昼間夜と交代で2人ずつ部屋の扉の前に立っている。今日はなんだかおかしい。
なぜか今晩護衛は新人護衛兵1人なのだ。そんな事今まで一度もない。
さっき見たところ新人護衛はなんだかとても嫌な笑い方をする男だった。僕はその事に引っかかってる。
多分レノン様は体感的に嫌な何かを感じている。お目付役のルー婆も10時の鐘でお休みになった。
一晩は用心しなければ、僕はレノン様の守り人、いや守り猫なんだ…