第六話 意識の先へ
ブックマークが10件超えてる!!
できるだけ皆さんも楽しんでもらえるように頑張ります!!
皆さん今年はありがとうございました来年もよろしくね
「はあ~」
いったい何回目だ。また不思議空間にいる。ん? 今回は透明じゃなくて真っ白だ。
「おい! イスナー居るんだろ!! 出て来いよ!!!」
返事がなく、声が前と違う。より現実に近いような、しかも浮いてる感覚もない。
足が地面に着いている? 変に思いながらも地面を叩いてみる。
「いっちぇ~~!」
固い感触がじんじんと伝わり、自分の鼓膜が破れかねない声がでてしまった。前の不思議空間とは違うみたいだ。
疑問が尽きないので周囲を確認ししてみる。……居たあ!!!
――後ろ向きの赤ちゃんが体育座りをしていた。
「おいイスナー! 居るなら返事くらいしろよ。さすがに幼女が良いとは言ったが赤ちゃんは少し――かなり幼すぎだろ! ロリロリかよ!!!」
公害レベルの騒音ボイスで呼ぶ。
こちらの声に反応して、不思議そうによちよちと歩いてくる。金髪で顔に収まらないほど大きな青い瞳。そして真っ白な体……。
――そう、つまり一糸まとわぬ恰好!!
「ふ、服ぐらい着ろよぉ」
お、俺はロリコン! 紳士ですからっ!! 自分の目を手で覆ったが、でかすぎだろお!? 微妙に見えるぞ。顔赤くないよね、ちょっと動揺してるだけだから? そしてジッとこっちを見ないでほしい。
「あなたは……タコ人間?」
「ちっがーう!! いいから服を着ろ!!!」
おもわず手を振り上げてしまった。――見てません! 見えてませんから!! すぐに目を瞑りましたよ。本当です。
イスナーがその冷たい手で俺を触りだし、何かを確認している。
そこはマズイですよ!?
そんな所に手は入りません!!
イタイ! やめて!! やめてえええ!!!
パシッ!
「口に手を突っ込むんじゃあねぇ!!」
イスナーの手を吐き出し払いのけると、ビックリして少し逃げた。驚くのはこっちの方なんだけど……。
「なんだか……わかってきたわ。あなたは……」
……
おい、次の言葉は? 変な溜めを作るな。視線をどこに向けていいか困るだろ。ちょっと目に毒?だから。
「わたしね?」
……?
何を訳のわからない事を?
「イスナーいい加減にしないと怒るぞ。それとおまえ、神なんだからパパッと服を着ろ!!!」
何度も言うぞ。目に毒?だからな!!
『イスナー、イスナーってさっきからうるさいな~』
こどじが送られてきた。
『えぇーー!?』
おっきくされた文字が頭を駆け巡った。やめろ脳がバカになる。
それにイスナーが二人?
目の前には一枚の和紙、そして赤ちゃん。
あれ!?
赤ちゃんはイスナーじゃないのか?
『ちょっと君どうなってるの~、なんで二人に増えてるのよ~!』
「増えてない!! 俺は一人だけだ。……へぇ? 二人!?」
……二人……わたし……あなた……?
「わたしはあなたよ。イスナーじゃないわ」
もう一度、目の前の赤ちゃんをよく観察する。言われてみれば母さんと同じ金髪碧眼で顔も似ているような。これが俺なのか? と、なれば《運命の子》十二人で一番ドストライクだった子が俺になるのか。
「そんなバカなあああーー!!!」
あんまりだぁ~――ぐすぐす――俺の異世界ロリロリパーティがぁ~。その一番重要な子が俺?――しくしく――自身が女になってしまったのならスキンシップもOK? みたいな事を頭の隅の端っこの微かな小さいほんの一部で考えていたのに――メソメソ――いったい何を夢見てこれから生きねばならんのだ~~~!!
「落ち込んでるわよ?」
『あまり気にしない方がよさそうね~。落ち込んでいるのが前回会った君で~、そこの君は誰なのかしら~』
「わたし? わたしは、わたしは……――かな?」
『ブゥッ!! もう一度、大きな声で言ってよ~ね~♪』
人が落ち込んでいるのにバカ神はヤケに嬉しそうな文字を、ぷふとかを濁点のように添えやがってぇ。腹を抱えて笑い転げ過ぎて、吐きそうになっている。あの野郎その体で何か出るのかよ。墨汁がでるのかよ!!
「わ、わたしは……――……わたしは!!!」
もう一人の俺が両手で顔を強制的に上げ、目線が合わさる。指が口に入って――ひっぱるな!!
「ち・ち・の・み・じ・ん・か・く・よ!!!」
俺の分身らしき物体から世にも奇妙な発言が聞こえたような? ……ちょっと意味がわからない、自分の頭では理解不能だ。
「はぁ~ッ~~?」
おもいっきり息が漏れた。鼻に指を入れられ力強く広げられる。ちょっとイタイ!!
「乳飲み人格よ!!!」
「え? なんだって!?」
「乳飲み人格よ! ちーちーのーみーじんかくー!!! ふっざけんじゃないわ!!!」
よし言っている意味が解らん! 狂気をはらんだ瞳が俺の視線を逃さない。
これは質の悪い夢だな。まったく、はやく起きないと。
そ~れっと、地面にバックヘッドダイブだ!!
グキャ!!
「いちゃい!」
「ちょっとー! あなたー何やってるのーー!!」
ゆっくり立ち上がらせてもらった。
「ちょ、ちょっと、じ、時間をくれないか?」
すーはースーハーすーーはーー。よし。
「キミハオレ?」「たぶんそうね」
自身を破いたイスナーが乳飲み人格ちゃん(仮)の大切な部分を隠している。その光景を見た(仮)ちゃんが目を潤ませておびえていた。怖がりな奴め。ハハハー! あれれ? 俺の目から汁が、おかしいなあぁ……。
「スキナモノハ?」「ちっちゃい子に可愛い物とか、漫画にアニメにゲームに、ポテトチッ「ワカッタワカッタ」」
俺とまったく一緒。一部の回答時、視線に熱がこもっていたような。イスナーはさらに破けて俺のも隠してくれる『おっけ~?』グッドマークをイスナーの切れ端に向けた。
「ニジュウジンカク?」「そうでしょうね。あなたの記憶は全部有るから、そうじゃないと説明できない」
あんな事やそんな事も? 薄ら寒い笑みを浮かべながら、手で数字を表し下腹部を指さしている。その数字はまさか――。
お、おねしょの年数!? また次の数字を手で表して――。
「――ナゼウマレタ?」「あ~な~た~が~! お母さんの授乳に耐えれなかったからかな? わたしにもわからないわ」
三十歳童貞シカタナイネ。
「ナゼカタコト?」「コミュ障ダカラ」
質問を返されたが、俺の返答にとても納得している。お互いに三歩後ろに下がった。
「ふ~、なんで女言葉?」
「一応女よ、ほら無いでしょ。あなたも今は女でしょ」
股間をパシパシ叩いている。うっとかイタとか小さい文字が頭の中を右から左に流れた。その後に股間に対して(仮)ちゃんが謝っている。かなり危ない女だな~。……って、ちっがーう!!
「俺は男だ!!! それは置いといて乗っ取るつもりか?」
身を隠しながら距離をおく。あれ、これはセクシー――。ふんぞり返って仁王立ち。男だからな。
「そんな事しないわよ!?」
「本当にぃ?」「ええ本当よ」
OK、OK把握した。俺は母さんの授乳攻撃に耐えられなくて精神が分裂したという訳だね? イスナン君。
『そうなのかなシャーロック~? でも君は本当におもしろいね~。今日が転生初日なのに~、こんな事今までの《転生者》には起こらなかったよ~』
こいつ俺の心の声を。そんなことより服だ!!! イスナーで隠すとよけい目に毒?な感じだからね。
「イスナー『わかった~』」
まだ何も言ってないのに……。おーおー! 服が急に現れた。う~ん? もっとマジカルマジックした演出が欲しいな~と思ってしまったがために――。
シャッラーン!
どこからかポップでキュートなBGMが流れてきた。目まぐるしく風景が変わりだし、リボンや流れ星、ハートのオブジェクトが突如として現れる。
そして、服がなぜか無くなっていた。
「はちみつ、りんごおいしいよ」
(仮)ちゃん突然何言いだすの!! 身にまとっている光の全身タイツは何!?
キラーン☆
身体が言う事を聞かない! 前屈みになって右足をタッチさせられた。
同じのを着せられている!!!
パアーン♪
可愛く弾けた音とともに、右足にさきほどの服が過剰エフェクトで出現。後ろの方から女性のバックコーラスがら~ら~言っている。立つのが難しいくらいに内股にさせられて、左足を上に曲げてパアーン♪と左手で触れるとその部位に服がでた。
くる~ん♭
「あなたの街の、自然を守る」
誰が喋っているんだ。……俺!?
宙に浮いて斜めにぐーるぐる回転していると、(仮)ちゃんが目に入る。瞳に星、さらに写っている俺の眼にはハートが描かれていた。レオタード状に布が現れて、鏡写しのように手を二人一緒に合わせると、両腕に花びらが舞うエフェクトと同時に全身の衣装が出揃う。
キュピーン
「「神に遣えし《運命の子》」」
胸に手を当てさせられ、リボンが生えてきた。手でハートマークを作り(仮)ちゃんと頬ずりをさせられパア~ン♪と、音とともに少し離れて、キメポーズらしきもの。
「溢れる愛をあなたに! ヒールピンク!!」
(仮)ちゃんの後ろからピンク色のハートが大量発生した。とても嫌な予感が――。
「みんなの愛がここに! まじかる☆おーしゃん!!」
うわああああああああ!!!
後方から水色のハートがあぁーー!!
なんじゃこりゃーーー!?
目線の先には物凄く嬉しそうな顔で、はしゃいでいる変なのが……。
「魔法少女みたいだったね~」
「え、あ~、うん?」
アニメでおなじみのシーンを体験したわけだが、やる方はおかしい。頭のネジないんじゃねー!? 体をムリな体勢で強制的に止められるは、耳障りな効果音がガンガン鳴るは、目がチカチカするは、まったくたまったもんじゃねえ!!
それに服!!! これパジャマだよね!? あんな演出して出てきたのがこれとか、ないわぁッ!!
「ハッ!! イスナー! これでいいからな!!!」
俺の中の危険察知能力が警鐘を鳴らしている。
『えぇ~! もういいの~、もう一回やるぅ~?』
「やぁ「一回で十分だから」」
恐ろしい事を言いそうだったので、口を大急ぎで塞ぎ、俺はそう答えた。
セーフ。服は俺が水色で(仮)ちゃんがピンク。これで服問題は解決だな、フード付きのクマの着ぐるみに見えるがもうスルー。墓穴は掘らん!! それと――。
「今日からおまえは、チノ! 乳飲み人格を略してチノだ!!」
「チノ、チノ~、ふ~~ん」
「乳飲み人格よりかは良い名前。お礼にあなたの名前を付けてあげる。……名無しのナシちゃんでいいかな、主人格さん♪」
「イスナーに聞けばわかるだろ。俺の名前は?」
切れ端の和紙が役目を終え、集まり元の姿になった。
『ごめんね~、それは教えられないの~。たぶんすぐわかるから~』
「ケチィ!! それとチノ! ちゃん付けはやめろ。俺は三十歳になるおっさんだ」
「その見た目で言われてもね~。イスナーちゃん」
『そうだよ~。チノちゃんの言う通りナシちゃんでいいでちゅよね~』
おしゃぶりが追加された文字がきた。なんだぁ~? いきなり俺をいじって、しかも妙に仲良さそうにしてる。虐めイジメですか?
「おい、イスナー。ここは神の部屋か?」
ドスを効かせた声を出そうとしたけど、何コレ~? 裏返って甲高い声がカワイイ声になってる。恥ずかしい。
そこの二人ニヤニヤするな。イスナーめ、器用に笑いやがって。
『ここは君だけの部屋~。精神の部屋だよ~。寝ている間は自由に来れて~、色々できる部屋になる~。予定~』
「寝ている間? それに予定なのかよ!!!」
おもわずイスナーに手でツッコミをいれると、和紙だから、いい音が鳴った。
『せっかちさんね~。寝たらわかるわよ~』
『ね~♪』「ね~♪」
スルーだ俺、クールになれ俺!!
「けっきょくこの部屋、何もできないのかよ」
『ちょっと~、神の話は最後まで受け取って~。ここならチノちゃんと会いながらおしゃべりできるよ~。それと現実でもわたしとコミュニケーションできるように~、≪念話≫の上位の《神話》を覚えるためにここで訓練をしてほしいんだ~』
「≪念話≫?《神話》? 超能力か?」
チノも同じように首を傾げている。
『超能力じゃないよ~。≪念話≫は魔法で《神話》はもっと凄いものなんだから~』
後半部分が神々しく輝いていたが、されている文字がこどじなので威厳なしだ。
「魔法があるのかこの世界? ぜんぜんでる気配がなかったけど」
「魔法ぉー♪これでわたしも魔法少女。いいえ赤魔法ちゃんね」
「なんだ赤魔法ちゃんて、……言わなくてもわかる。赤ちゃんと魔法を安直に合体させただけだろ」
「さすがはナシちゃん。わたしとあなたはやっぱり同じね」
チノが手を自分に向けた後に、俺に向けくすくす笑っている。否定できないのが腹立たしいが。とりあえず現実に戻ったらもう一度魔法の練習をしよう。
『ここにいると現実でも同じ時間が流れるの~。あとは~、頭が休まらないからムダに来ないほうがいいよ~』
「「は~い」」
二人一緒に手を上げて返事をした。
『説明できるのは今はこれくらいかな~』
最後にこれだけは確認しないとな! チノの方を向く。
「チノ、あの、その、母さんの……」
「あ~あ~~、言わなくてもいいよ。ナシちゃんがおっぱい飲む時はわたしが代わる」
「本当にありがとうございます!!! チノは神様だ~」
俺は涙を流しながら両膝をついて手を合わせている。
――嘘泣きだけどな!
『神様はわたしだよ~?』
「そうだぞ! イスナーちゃんは神様でわたしは天使だぞ。えっへん!!」
イスナーの“神”の文字が金色に発光し、チノの頭上に輪っかが輝き、パイプオルガンの音色が流れた。
チノが不思議そうに輪っかをポワンポワンという反響音をださせながら叩いている。あ、食べた!
「もうスルーだ。どうやってマイルームから出るんだ?」
『精神の部屋だよ~。マイルームじゃないよ~』
「まぎらわしいんだよ。精神の部屋か魔法使いの部屋かどっちだよ。あと、ルビに漢字を混ぜるな読む人の気持ちになれ」
イスナーはいまさらと言いたそうな態度だ。何? 拡大しろ? ショートカットがあるだろ? 本物の紙媒体だったらできないが、俺の脳内ならできる……ワケェねえだろぉ!
「魔法使いの部屋がいいわ」
『それに決定~!! 部屋を出る時はベッドがあるから~、そこで寝れば出れるよ~』
ベッド? そんなの無かったはず。
チノがキョロキョロ探し、俺の身体を後ろに向けようとする。
――在るは。いつの間に……。
…………すごく疲れた!
俺はもう寝る!!
解散!!!
『あ~!! 一人じゃだめだよ~? チノちゃんと一緒に~。ね~♪』
……もう~、本当に疲れた~(泣)
チノはさっさとベッドの上まで行って、ぴょんぴょんと飛び跳ね、俺を待っている。
「はやくー、はやくー!」
げんなりしながらよじ登ると、もうすでに丸まって寝ていた。はやっ!! その恰好だと冬眠だな。
天蓋有りのベッド上には枕が二つ、クイーンサイズ?くらいの布団が一枚、赤ちゃんグマが一匹だ。かなりふかふかでこれならすぐに眠れそう。
小さな寝息とイスナーによる心地よい音色のおかげで……まぶたが重い……。
それにしても賑やかな奴らだ……。これからはうるさい毎日になり――。ふあ~~、ねむ……。
すや~~
俺は意識の先へ旅立った。
イベントクリア報酬
ゲットスキル
【二重人格】
一つの体に二つの人格?
補正 器用さ+1
【魔法少女】
やれと言うフラグ(折れない)
補正 魔法力+1<封印中> 魔法力+10%UP
【赤魔法ちゃん】
赤ちゃん魔法でちゅ~
補正 詠唱時間-5%
【嘘泣き】
嘘泣きとかクズだ~外道だ~
補正 HP+1 防御力+1 抵抗力+1
secret
《神話》
まだ使えない
補正 魔法力+5<封印中>
《魔法使い》 ⇒ 《魔法使い+》
魔法使いの部屋に入れるよ これでスキンシップできるね?
補正 MP+100 魔法系に大きな補正が入る <new>MP消費-10%
創作日記:最初の構想ではチノなんて微塵も出てこなかったどっから出た。
文章で表現するよりキャラが喋る方が書きやすいもっと文章力が欲しい。
あとキャラが暴走しすぎてるこれ俺の頭から出てることだよな?
キャラ数がふくらむ構想の何倍になるんだ俺に制御できるのか?
未来の俺過去の俺を恨むなよ。
未来日記:過去の俺よくチノを生み出した。褒めて遣わすぞ。
チノが出現していなかったら、ぜんぜん違う物語になっていたと思う。
それと、小説をまったく書いたことが無い奴の構想なんて穴だらけ。
設定も穴とムダのオンパレード。とりあえず書いてから考えた方が良いよ。
初心者に足りないのは圧倒的に出力。入力の方は人生歩んできたんだからそれだけで足りる。
出力を続ければ、己の何が不足しているかわかる。そこから改めて入力をすれば身に付きやすい。
だから、書くんだよ!!!