第五話 転生初日
リア充爆発しろ!!
クリスマスそんなの仕事しか予定ねえ!!!
クッソー! 六年後ッ!? それって六歳児? つまり小学生になるか、ならないかぐらいだろ。
絶対に、むりムリ無理ぃぃ!!
幼児達が魔王をポコポコと叩き、軽く一払いされ、ピーピー泣いているのが頭に浮かぶ。
魔王に勝てる未来がまったく見えない。十二人居ようがいくらなんでも幼すぎる。せめて十二歳くらいだろ? 普通ゥ!!
それに魔王だけで攻めて来るとかありえない。絶対に他の手下とかも強いはず。
『だいじょうぶだよ~。六年後にはめちゃくちゃ強くなってるから~。楽勝~、楽勝~♪』
ふあぁぁ? 頭の中に電波な下手くそ文字が! それといっしょに子供達が魔王を蒸発させている落書きが送られてきた。
『ちゃんと伝わってる~。ね~、返事してよ~』
伝わってる伝わってる。……? どうやって返事するんだ?
『そっちからはお話できないか~。今は君の思考を読んでるから~、いちおうはできるね~。あわわ~!! わたし次の仕事があるから~、しばらくはお話できないや~』
俺にプライバシーはないのですか。
『がんばってね~♪』
がんばれって何ができんだよ!! 今の俺に、ちくしょおおうぅぅーー!!!
そうだあいつが『イ・ス・ナーだよ~』……あいつが『イ・ス・ナーって呼んでねぇ~♪』……イラッ!! なに、まだ、話しかけてんだよおおーー!! 仕事があるんだろーーッ!!!
「ちゅ~、はぁ~」
ゼエ! ハア!
ふ~~~、たしか魔法使いが、どうとか何とか。あっちの意味の方だけど。つまりこの世界では魔法が存在する確率が高いはず。ここは俺が魔法をこうドッバーン!!とだしてやろう。
まずは精神を集中して!!!
臨兵闘者皆陣烈在前! 火遁の術! ムリか~。
天にましますわれらが神よ、その大いなる慈悲によって奇跡をここに。ゴッドボイス!
出るわけないか『呼んだ~?』呼んでない!『もう! 仕事の邪魔しないでね~』すまん『(ん? アレ?)』
――何にも感じない。魔力?みたいなの。体の中から湧き出るイメージとか、もうこれっぽっちも掴めない。異世界に来たのに魔法が使えないとかほんとありえん!!!
あぁ~、暇だなあ~。ボーっとして、これじゃあニートだ……。
式神招来! 悪霊退散! 急急如律令!! ダメか~。
いあ! いあ! あざとうす! あざとうす くふあやく
ぶるぐとむ ぶぐとらぐるん ぶるぐとむ
あい! あい! あざとうす!
適当すぎるよなあ~。
そうだ! 俺には前世の記憶がほぼ完璧に有る、今の状態でも詳しく調べよう。暇だし。
「あ~う、あっ~う~」
俺は産まれてから一ヶ月以内の状態だろう、この手足や首、眼、口が思ったように動かない感じ。個体差があっても間違いないはず。とにかく暇でヒマでしかたがない。少しでもはやく自由に動けるように訓練でもしようかな。
俺の前世が火を噴くぜ、うおおおぉぉぉぉッ!!!
ニチャ!
――そうなるわな……。
出るもん出るわな……。
どうしよう? 泣き喚いて母さん?に知らせるか? いやいや、まだ我慢できるだろ、とりあえず訓練訓練っと。
手を握って開いて握って開いて、うわ! 俺の手、気持ちが悪いくらいにプニプニだ。将来幼女になるのか~、ロリになるのかあ~。
ちがう! ちがう!! 腕を上に下に、繰り返して~、ついでに足を蹴って蹴って、足の指も動かして~。
あれ? こんなに足の指を動かせたっけ? う~ん。小さい頃はけっこう動かせたな。死ぬ直前くらいの頃は、意識して動かすことはなかったからな。
…………みんな――。
……
訓練訓練、頭を右向きに~、左向きに~。……? 左向きにーー!
……はあはあ、前には向いたな。よし! 左向きに~、……前向きに~、……前向きに――。
訓練終了!!! めっちゃ疲れた。もう無理、動けん!
ゴソゴソ
お尻がムズムズする。気持ち悪い。誰かに気づいてほしいな~。
――チラ!
おおーさすがデカデカお目々、視野角が広いな。良く見えるぞー。
母さん?はっと、書類仕事をやっているな。めっちゃはえ~。
マイロリロリシスターは――。
積み木をしてる。きゃあ~! すっごく似合ってるーー!! パーフェクト、オーブラボォォー!!!
「えぐ、えぐ」
モゾモゾ
ああ、これは泣かないと気づかないパターン。しかたがない、いくぞ――。
「ウギョフ」
泣き方がわかんね! え~と、あ~~! これこれ!! こうやってたのか。大人になったら忘れるもんだな……。
悲しいなぁ……、大人になるって……。
よっしゃ! もう1回――。
「うぎゃ~~~! おぎゃ~~~!」
か細い、貧弱、ショボイ! もっとドーンと出せないかドーンッ!!!っと。
精神を統一。
今俺が持てるすべてを捧げ!
うおりゃゃゃ!!!
「オゲア゛ア゛ア゛ア゛ウブフア゛ア゛ア゛!!!」
うっげぇぇーー。気持ちわるぅ~、腹に力入れすぎた。でも、大きい声はでた。誰かこっち向かないかなー。
「エ、エイドォォ……!? メメ、メアちゃんがヤバイッ!!! ヤバイごえ゛だじてるう゛ぅ!!!」
「おち、おちついて、ついて、てて、くだしゃい。ティア!? だいじょうぶ、だいじょうぶですからあー!!」
おお、気づいてくれた。二人とも青ざめた顔で何か喋っている。母さん?は抜き足、差し足、忍び足で不気味なほど速く歩いて来る。まいふぇいばりっとシスターは、あまりにも急ぎ過ぎたのか、スッ転んで顔面を強打して涙目だ。
いや~大変申し訳ない。おしめを替えて欲しいだけなんだ。本当にごめんなさい。
「メア様!」「メアちゃん!」
「……どう、エイド? メアちゃんだいじょうぶだよね?」
「ん~ん? ……粗相をされた……だけのようです」
「えーー!? いままでこぉーーんな、おぉーーっきな、こえださなかったでしょ。もっと、よくみて! み~て~!!」
うわ母さん?に顔をべたべた。首や手足をさわさわ。何かを調べてるかんじだ。母さん?おしめ、おしめ交換だけだから。俺は元気です。
「お熱はないですね。おしめ交換のおりに、お体に異常がないか拝見させていただきますね」
……
「異常は無さそうです? ……ティア様、念のためにお医者を呼んで参ります。メア様をしばらくの間、お見守りください。くれぐれも、余計な事はしないでくださいね」
「は~い!」
姉さん?が元気に手を上げている。
「勝手に移動させたり、抱っこをなさらないでくださいね」
「は~い!!」
「何かあれば――」「これでよべばいいんでしょ」
姉さん?が犬笛みたいな物をだす。それを見た母さん?がドアから出て行ってしまった。
……仕事かな? ――あれ、このだだっ広い部屋に、俺とマイロリロリシスターだけ……。
ギィー! ギィー!
姉さん?が踏み台を移動させて、ベビーベッドの外から俺を見ている。
「メアちゃんは、とってもカワイイ! たべちゃいたい」
何を言ってるかさっぱりわかりません!! お腹が空いているのか口を開けてパクパクしている。
「メ~ア~♪メ~ア~♪わたしのかわいいメ~ア~♪
メ~ア~♪メ~ア~♪わたしのかわいい~~♪
メ・ア・ちゃ・ん♪」
姉さん?がずっと呟きながら、俺を抱き上げようと両手を伸ばしている。危ない! 落ちるよ!! 落ちちゃうよ!!!
「う~ん、ちょっ! う~ん、ちょっと!!」
……姉さん? 超雑いです。服を引っ張って強引に持ち上げないでください。
って、うわわわー!
そんな持ち方をしたらダメです。いけません。なりません。
食い込むー! 大事なところがあぁ~、あっ! 無かったんだ。そっか無いのかあぁ~。
不器用に抱かれた。
持ち方を直してくれたおかげで多少マシになったが、今度は過剰な腕の圧が俺を襲う。
うみゅっと、潰れた声が漏れる。姉さん?はご機嫌なようで、いきなりスキップをしだした!?
「あみゃっ、みゃっ、みゃっ――」
振動が、振動が響くぅーー! あわわわ――。
「メ~ア~♪メ~ア~♪わたしのかわいいメ~ア~♪
メ~ア~♪メ~ア~♪わたしのかわいい~~♪
メ・ア・ちゃ・あーーッ!!!
メアちゃんおなかへってない?」
俺を床に置いて、服をいじりだしたぞ? 脱ごうとしてる?
――脱ごうとしてる!!!
「あう~!!」
ちょっとまってちょっと待って!? いいかい姉さん? いったん服を脱ぐのをやめよう、ね? 母乳は母親にならないと出ないんだよ、ね? ね! あぁ、見える見えちゃう!? 俺はロリコンだから! 目はちゃんと瞑っていますから!!
「オギャ!!」
どうする俺? どうしよう俺ッ!! とにかく手を前に出してイヤがるんだあ!!! ちょっ姉さん?力強っ!? 痛いー!! 頭をアイアンクローしないでください。俺の顔を胸に押し当てないでぇー!?
ああぁぁああ、口を手で無理やり動かさないで、今何にも感じてないですから、心を無にしてるから!
ムニュムニュ
ほーらでない。とっとと、あきらめて姉さん?
ん? ……?
で、て……る!? え!!! 姉さん?が母さんなの!?
え!!
ええぇぇーーーッ!!!
俺は精神の限界を迎えて、
意識を失った――。
…………
……
「メアちゃん? メア……ちゃ……ん……!? ヒィッ!!」
「ふ、ふかなきゃ!! よばなきゃ!!!」
ピーーーーー
――ガチャ!
「エイドォ~~!? どうしよう!!」
拉致した海人の兵士を連れてエイドが、ティアの方に駆け寄る。
「メアちゃんがーー! しろめをむいちゃって!」
ティアはあたふたと我が子を兵士に見せた。
「あたい、ただの衛生兵なんだけどぉ!」
「いいから、はやく見てください。あなたの腕は私が一番知っていますから」
兵士はメアに手をかざす。
「ん~? ただ気絶してるだけみたいだ。エイド姐」
「もっと、よくみて、み~て~!」
甲高い声をさらに高くして兵士に言い寄る。
「ティア様がそこまでおっしゃるなら」
意識を集中して、メアの身体を隅々まで調べる兵士。
「お尻の方が少しかぶれている。それと何か強いショックを与えられたみたい」
「お尻の方はだいたい検討がつきます。しかし、あそこまで泣くには少々理由に乏しいような。それよりも強いショックですか。お心当たりはありませんか?」
「ぜんぜんない!」
首を全力で振って否定している。
「つかかぬ事をお伺いしますが、ティア様はなぜメア様をお抱きになっていたのですか?」
「え~とね、え~~とね」
ゆっくり、ゆっくりと踏み台をエイドの視線から消すように移動している。
「あッ!」
突然エイドの後ろの方を指さして視線を誘導させた。二人がその方を向いた瞬間に、駆け足で踏み台に近寄り、それと同時に強烈な蹴りを浴びせて吹っ飛ばす。
「「…………」」
一仕事終わった後のように冷や汗をぬぐいさるティア。
「あのね、きゅうにメアちゃんが、しろめをむいちゃったから、いそいでだっこしたの」
何食わぬ顔で答えた。
すると、満面の笑みを浮かべたエイドはさらに質問を重ねる。
「ティア様はお約束通りに、お見守りしていたのですね。では、どのようにされてベビーベットからお抱きになって降りられたのですか? ティア様の背では届かないですよね」
あわてて後ろを向く。そこにはさきほど蹴っ飛ばしたはずの踏み台があった。
「これをつかってメアちゃんをだっこしておりたんだよ?」
踏み台の方にいぶかしげに手を向ける。
「そうですか。それなら――」
「なぜティア様は上のお召し物ををお脱ぎになっているのですか?」
「…………」
絶句した一人を除いて、二人は呆れている。
「ウソはいけないと、あれほど言いましたよねっ!!!」
「えっと、メアちゃんにおっぱいあげようとしたら。きゅうに――」
「どのようにされたのですか」
「……こう!?」
しどろもどろに状況を再現した。
兵士はエイドからお礼の品として、クッキーの袋を受け取ると部屋から出て行く。
「はぁ~、いいですかティア、赤ちゃんはこのように抱いて食事をさせるのです。決して頭を鷲掴みなんてしてはいけません」
「うん、うん、ごめんなさい」
エイドは正しいやり方を、丁寧にわかりやすく教える。でも、それを真剣に見て覚えようとするが、いつもどこかおかしくやるのがこのティアである。
「この分は謝った事に免じて何も言いません。次からはもうだいじょうぶですね」
「うん。わかった。ほっ!」
そっと胸をなでおろすも――。
「それでは、ウソをついた事に対して何か言い訳はありますか?」
「え?」「無いようですね♪」
迫り来るメイド。
幼女の目から大粒の雫がこぼれ落ちるのに、
「エ、エイドォ~? アハハ、アハ、あは~――」
そう時間は掛からなかった。
パッシン!!!
「う゛わ゛~~ん゛!!!」
イベントクリア報酬
ゲットスキル
【アタマノナカニデンパガ】
頭の中に幼児の文字が入ってくるんです ……精神科行こうか?
補正 MP消費-1%
【貧弱】
もっと訓練がんばって♪
補正 器用さ+1
【勘違い】 ⇒ 【勘違い+】
まあ間違うかな? イヤわかりやすかった?
補正 HP+1 たまに運UP <new>抵抗力+1
【よく飛ぶ】
よく意識が飛ぶ
補正 素早さ+1 ジャンプ力が1cmUP
secret
【キモイ+】 ⇒ 【キモイ++】
マイロリロリシスター…… うわぁ
補正 すごくきもい
ティア
【歌が好き++】 ⇒ 【歌が好きSP】
人並以上には上手い
補正 <new>HP+10 MP+10 魔法力+10
エイド
【地獄耳++】 ⇒ 【地獄耳SP】
エルフや獣人に負けないくらい耳が良いです
補正 器用さ+10 <new>音に関するスキルの補正を2倍にする
創作日記:やっぱり母親と言えばロリ親だな、うん。
キャラがロリばっかでどうしよう。キャラ付けやばない後の事は未来の俺がんばれ。
未来日記:はーい! 過去の俺歯ぁ食いしばれやぁッ!! そして、さらに未来の俺、凶器はまずいです。手を降ろしてください。
はい、『キャラの人数は絞れ』です。このバカな作者は何をとち狂ったか、速攻で運命の子を十二人にしています。あえて言います。バカかな?
初心者がこの大量の人数をキャラ付けできる訳ないだろう。そして現在の俺! モブキャラをなに準レギュラー化させようとしている。ソシャゲ見ろよ。あの見苦しいキャラ付けの数々を、語尾とかで誤魔化せるだろ。やってやんよーーー! クソがーー!
初心者の方はレギュラー三~五人くらい、準レギュラー十人くらいにしていた方がいいです。おっさんとの約束な。え!? 俺は俺の道を逝く。一緒に逝こうか、地獄に。