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第75話 覚醒の時

お待たせしました


遅れてスミマセん


ポタッ、ポタッ、ポタッ。


雫がゆっくりと地面に落ちる音がする。


その音に気づき俺は、ゆっくりと目を開ける。

するとそこには辺り一面暗闇が広がっていた。

俺が辺り一面を見渡したところで意識がしっかりしてきた。


「っ!ここはどこだ!?」


「ここはあなた、いえ、シトレア様ご自身の中ですよ」


「誰だ!?」


声の方を振り返ってみると、何回かみたことがある顔があった。


「シルヴィア!?」


「はい、お久しぶりです」


「でも何でだ?」


シルヴィアは、俺が神様としての能力が覚醒してないから、まだ不安定だから実体化ができないといっていたはず。


でも待てよ。


さっき自分の中にいるって言っていたぞ。

それは本当なのか?


「はい、本当です」


「うーん、そうなのか…てか、俺の心の声を読んだのかお前?」


「いえ、ダダ漏れでした」


「そ、そうか。俺声に出してたか…」


「はい、出してました。このことはここまでにして、シア様は前に私が成長期に入り始めると能力が覚醒すると言いましたよね」


「あ、ああ。それも意外と早く成長期が来るって言ってたような?」


「はい。では、そこまで覚えていれば大丈夫です。では一つ問います。シア様がご自身の中に来た。この意味は分かりますか?」


「俺がここに来た意味?それは一体…」


「ここに来た意味。それは、あなたの成長期、いえ、能力の覚醒が近づいているということです」


「えっ、ええーーー!」


「理解しましたか」


「あ、ああ。でも待てよ。成長期ってこんな早かったっけ?」


「男性より女性の方が成長期は早いのですが、それを比べてもシア様の成長期は早いと思われます」


「で、でも何で?」


「考えられる理由はいくつかあります。一つはあなたはエルフです。ですがエルフは普通の人間たちより寿命がとても長いだけで成長速度はほぼ変わりません。ですが、私と契約したのと、そして神の能力を保持していることが早熟の理由だと思われます」


「そうか…でもそれだけじゃこんな早くならない気がするんだけど?」


「理由はもう一つあります。シア様は誰の娘ですか?」


「ヨメナだけど?」


「そのヨメナ様は周りにほとんどいないくらいの大きな胸をお持ちです。あれならこのくらいの時期に成長期が来てもおかしくないと思います。シア様。ヨメナ様の小さい頃を思い出して下さい」


「わ、わかった」


確かにヨメナは胸がでかい。

その胸が大きくなりはじめたのはいつ頃だ?


「うーん?」


そうだ、思い出したぞ!


「八歳になる前くらいだった気がする。

確かにその時の周りの女子はまだ成長期に入ってなかったような?」


「それであれば、成長期が早いのは納得ですね」


「そ、そうだな。でも、女になったから成長するのはちょっとなぁ。でも俺まだどこも成長してないぞ?」


「シア様、してるじゃないですか」


「ん?どこがだ?」


「胸です。制服の胸あたりがきついとか言ってたじゃないですか」


「あっ、そうだった。でも、胸があると戦闘に支障が出そうだからあまり大きくならないことを願おう」


「それは無理ですよ。ヨメナ様の時より成長期が早い時点で、ヨメナ様より胸が大きくなるのは遺伝子的に確定してますので」


「ですよねー」


そんな時だ。


何もない場所にひとつの光がさした。

そこには何かがある。


それを見たシルヴィアは、さっきまでの雰囲気とは違い、真剣な眼差しで俺に話しはじめた。


「シア様。とうとう時間がやってきました」


「何のだ??」


「先程言った通りに成長期に入る時間がです」


「…………」


「あの光の中にあるのはシア様自体の成長と新たな能力です」


「俺自身の…」


「そうです。これでシア様は大きく一歩を踏み出すことができます。楽しみでしょう。嬉しいでしょう。そして不安でしょう。ですがここで立ち止まってはあなたの願いは叶うことはありません。

守りたいんでしょう?大切な人を」


そうだ。俺は大切な人を守りたい。

だから不安でもこの一歩はかけがえのないものとなる。

この先、どんなに苦しくなろうとも。


そして、俺は新たな本のページに進むためにその光に迷わず触れた。


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