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第61話 シトレア、深読みをしすぎる。

お待たせしました


俺がエリナのところに早歩きで向かうとエリナは、浴衣を手に持って俺のことを待っていた。


「あっ、シア、やっと来たわね」


「うん、少し遅くなっちゃった。ごめんね?」


「うんん、大丈夫よ。ところでシアは自分の浴衣決まった?」


「まだだよ。で、エリナ?呼んだってことは何か私に用があるの?」


「そ、そうよ」


俺が質問するとエリナは、少し顔を赤らめながらもじもじして答えた。


一体どうしたんだ?


「あ、あのね、私、自分が着る浴衣を二つまでに絞ったんだけど、どっちがいいかシアに聞きたくて」


そう言ってエリナは、二つの浴衣を片手片手で持って俺に見せてきた。


うむ、なかなか良さそうな浴衣だ。


「どっちがいいと思うかしら?」


エリナは恥ずかしそうかつ、ためらいながらそう言って俺に聞いてきた。


「…ちょっ、ちょっと待って!」


「う、うん…」


本当にちょっと待てよ。何故いきなりこんな状況になった?おかしいだろ。


まさしくこの状況は、女子が好きな男の子に、「どっちがいいと思う?」と聞かれているような状況じゃないか!


本当に何でこうなった?

女になったから、こんなことはもうないと思っていたが…そうか…ついに来たか。


まあ、そんなことは今はどうでもいい。

今は目の前のことに集中せねば。


よく考えろ俺。


…そうだ、まだどういう浴衣かを詳しく見てなかったな。まずは、どんな浴衣かを見てみるとしよう。


まず、エリナの右手の方にある浴衣。

右手に持っている浴衣は、何かよくわからない模様があって、紫色をアクセントにしたものだ。確かに、エリナの雰囲気にはとても似合いそうな浴衣だ。


そして左手には、やっぱりよくわからない模様で、水色をアクセントとしたものだ。こっちもなかなかのもの。迷う…


というか、みんなにはどんな浴衣かあまり伝わってないだろう。ごめんなさい、ファッションに疎いんです、俺。


まあ、俺的には、やっぱりツンデレっぽい紫色をアクセントとした浴衣の方が似合ってる気がするんだが…


だから俺は、


「むらさきいろの方がーー」


待てよ?


「うん?」


エリナは不思議がっているが、今はそんなことはどうでもいい。


ここで紫色の浴衣の方をすんなり選んだら、エリナに、ただ単に流れで適当に選んだって言われそうだ。


いや、もしかしたらエリナが俺を試してるのかもしれない。エリナがいいと思ったほうがどっちかって。


俺は、まだアキレアだった時に、ヨメナとデートした時の出来事である。


そういえば、ヨメナがいいと思ったほうを選ばなかったら、嫌な顔をされたり、ブツブツ何か言われてたっけな。センスが無いなど変態だの…


だったら、聞くなよっと思った俺だが、オシエによると、好きな男の人にも自分と共感してほしいとかないとか。


だから、何か文句を言われないためにも、ここで俺が当ててやる。


そういえば、アキレアだったときにこんなことを聞いたことがある。


「女ってのは、着たい服を利き手か、少し高い位置で持ってることが多いんだぜ。そのおかげで、ポイント稼げて俺もかわいい嫁さんを手に入れたんだぜ」


と、酒を一緒に飲んだときのどこかのおっさんが言ってたっけな。


エリナは右利きだし、そっちの方が少し高く持ってるから…


よしっ!決めた!


「右手にある浴衣の方がいいよ」


「うん?こっち?じゃあ、こっちにするわ!」


この喜び具合は…当たった!


俺は、素直に喜んだのだった。




シトレアは、そんな風に喜んでいるが、シトレアは知らない。

エリナは、シトレアのことが好きがゆえに、シトレアが選んだほうを着ようと思っていたことを。


結果、エリナは、どっちを選んでも良かったのであった。


まあ、何だかんだでエリナの浴衣は無事に決まったので良いことにしよう。





60話訂正しました。 5月28日

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