第43話 王都からのお店
おまたせいたしました!
俺たちが木々を抜け街に出ると、街はいつもより活気に溢れていた。
そういえばヨメナたちが、「明日は王都から商人たちがやってきて、広場にお店を出したりするのよね〜、私も行こうかしら?」的なことを言っていたような気がした。
そんな訳もあって、まだ俺の知らないものがたくさん見つかりそうでこのイベントは結構楽しみにしていた。特に甘い食べ物とか。
「セレス、エリナを呼ぶ前にお店を少し回っていい?」
「シア様、今ここでお店を回ったら、シア様の傾向だと絶対に甘い食べ物につられてしまいます。
そして、エリナさんをお迎えするときには日が暮れてしまいます。それは、エリナさんに申し訳ないですし、それにエリナさんを迎えに行ってからでも遅くないと思いますよ?そっちの方がシア様にとっても楽しいと思います」
「うっ」
確かにそうだ。俺が甘いものにつられてエリナを迎えに行くのが絶対に遅くなる。そうすれば、エリナに迷惑をかけてしまう。
結局俺は、そんなセレスの言った正当なことに言い返せるわけもなく、俺は見事に撃沈し、甘い食べ物はエリナを迎えに行ってからと、お預けになってしまった。
そして俺とセレスは、再びエリナを迎えにと歩き出した。
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俺とセレスがエリナのお店、もとい食堂の中に入ると、すでにエリナはお泊まりの準備を済ませて俺たちのことを待っていた。そして今俺たちに気づいたらしく、少し喜びを見せているが、やっぱり少し遅れたのが納得いかない様子。
「シア、遅いわよ!」
「ごめんって」
「なんで遅れたのよ?」
「甘いものが私にまっていたんだよ」
「あ、うん…」
意味わからない回答をしたせいか、返事があやふやだ。
「シア様は甘い食べ物が早く食べたくてうずうずしているだけですよ」
「ああー、そういうことだったのね。なら早く行かないと。それじゃあ……んっと、お母さん、行ってくるー!」
「行ってらっしゃい」
そしてエリナは、これから俺たちの家にお泊まりをしに行くのが楽しみなのか、スキップをしながら歩き出した。
そして道行く途中、エリナは鼻歌を口ずさみながら呑気に歩いている。テンションがすごい。そんなエリナに俺は話しかけた。
「エリナ、お昼ごはんは食べた?」
「食べたけどてんて少しまだお腹が空いてるわよ。でもなんで?」
そして俺は、広場の方に向けて指をさす。
「ああ、そういうことね…」
「エリナさん、すみません。少しシア様にお付き合いください」
「まあ、それはいいんだけどね…」
「じゃあ、二人とも行こ!」
「ちょ、まっ」
「シア様っ」
二人の言っていることになり振り構わず俺は、二人の手を取って、甘い食べ物を求めて走り出した。
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俺たちは結局あれから、結構な速さで次々と甘いものを制覇していた。
前世では甘いものを食べるのはそんなに好きではなかったが、今では甘いものを食べることは大好きだ。
男のときはヨメナが「甘いものは女の子にとって別腹なの」とか言って有りえないほど食べていたが、シトレアとして女の子になってから思うと、とても納得できる。
「これが別腹というやつか!」
俺は一人で納得する。が、俺の隣でエリナとセレスが限界を迎えていた。
「私はもう限界…」
「シア様…それは別腹の次元を超えています…」
俺の後ろで二人はうなだれている。
なぜだろう?
そう、シトレアは、二人が胃袋の限界まできていることを知らない。
「じゃあ、次も行ってみよう!」
「「え〜!まだ行くの!?(ですか!?)」」
「当たり前だ、私には甘いものが待っている!」
そう言ってシトレアは次の甘いものを求めて歩き出した。
「もうダメだけど…」
「そうですね…」
二人はうなだれながらも、とぼとぼとシトレアの後ろについていった。
この後、家に着いてエリナとセレスが我慢の限界を超えてしまったのは、当然のことであった。
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