第41話 ストーカーという名の尾行
おまたせしました!
時刻はその日のお昼前に遡る。そして場所は、シルフォリウム家で…
「ああ、シアー!」
シトレアが出かけたあとヨメナは、アキレアが死んでしまったときの次くらいに落ち込んでいた。
「ヨメナ様、シア様も言っていましたが、シア様が死んでしまったような顔をしないでください。シア様が可愛そうです」
「で、でも」
「ヨメナ様」
それでもおもちゃを取られた子供のように不満そうな顔をする。
「シア様が悲しまれますよ」
「辞めるわ」
見事即決。相変わらずシトレアの名前が出ると、なんでも言うことを聞くヨメナだった。
「これじゃあ、おかしな人になんか言われても、シア様の名前を出せば何でも聞いちゃいそうで心配です」
「へっ?」
「何でもありません」
まあこれでヨメナ様も諦めるだろう。だが、それは甘かった。
「いいこと思いついたわ!シアのあとをつければ、心配しなくても大丈夫だと思わないかしら?」
「は、はあ」
「それじゃあ、シアにバレないようにあとをつけるわよ!」
「は、はい、はあ…これではシア様よりヨメナ様の将来の方が心配です…」
「?さあ行きましょう」
「では、オシエさん、お願いします」
「了解です、頑張ってください!」
何をですか?
セレスはそう聞き返そうとしたが、グッとそれをこらえた。
そしてオシエにお辞儀をしてから、セレスはヨメナと一緒に、ストーカーという名の尾行を開始した。
そしてしばらく早歩きして追いかけると、シア様は簡単に見つけられた。
そのシア様は、何かを探している様子。それ以外には、何も様子が見られない。
そんな時。シア様が道を彷徨っているところを、女の子がシア様に話しかけていた。
その女の子たぶん、シア様と同じくらいの歳だろうか。何かをシア様と話していて、それをシア様は聞いている。そして、しばらくして話が終わったようだ。
その後シア様とその女の子は、一緒に歩いてどこかに向かって歩き始めた。どうやら、その女の子とともに行動するらしい。
そして二人は歩く途中、クレープ屋さんの前で止まり、クレープを買って食べ始める。
その女の子とシア様は、買ったクレープを交換しあっている。なんとも微笑ましい。シア様たちを見た周りの人は、そう思っていることだろう。
だが一人だけその考えが違った。それはヨメナ様だった。
「私のシアなのに…それなのにお口あーんなんして…うらやましいわ!」
そんな複雑な態度をとっていた。というか、嫉妬をしていた。だがそれは、その場に一緒にいたセレス、私によって、何事も無く終えることができた。
そして二人は、クレープを食べ終えると再び歩き出した。
一時間ほど経ってから、やっとのことで目的地にたどり着いたらしい。途中、同じ場所を行ききしていたり、もう一人の女性の登場があったが、大丈夫だった。というか、その人のおかげでたどり着いたのだろう。
それにしても、クレープ屋さんから近かった目的地のお店に一時間かかったのは、ある意味すごいことだと思う。
そしてシア様たちは、お店の中に入っていった。
私とヨメナ様は、なかにはいるとシア様にバレてしまう可能性が高くなってしまうので、シア様が出てくるまでお店の外で待機することにした。
そして四時間ほど経って、ようやくお店から外に出てきた。
その間暇してた私とヨメナ様だったが、私かヨメナ様が食べ物を買いに行ったりして、まだ食べていなかった昼ごはんを食べたりして時間を潰していた。
途中、小物屋さんに行ったりしていた。何も不自然なことはないだろう。
そして無事にお出掛けもラストスパートを迎え、帰り道の途中。シア様が周りをキョロキョロと気に始めた。
私とヨメナ様は、すぐに物陰に隠れてなんとかやり過ごした。
それで違和感がなくなったのか、シア様は再び歩き始めていた。
そして私とヨメナ様も、シア様より先に家に帰るために、急いで自宅へと帰還した。
そして家に着いた途端。
「尾行成功!!」
そう言っていたのだが、夕食の時間に自分から尾行について話し始めてしまったため、シア様にバレて、夜にもかかわらずこってりと叱られたのだった。
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