第137話 拒絶される不安と怖さ
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俺は、急いでサラのいる場所まで向かった。俺もこの後試合があるのだが、サラが倒れたことによって一時的に中断という形をとっていたため、時間にはまだ余裕があった。
「サラっ!」
俺はサラがいるであろう部屋に入った。
サラは…いた。サラは、この部屋にある六つのベッドの中の一つで目を閉じてぐっすり寝むっていた。心もと顔色が悪そうに見える。
俺はサラが寝ているベッドの近くにあった椅子に腰かけた。
「サラ…」
姉のシャルルに自分ことを拒絶されたことが、よっぽどショックだったのだろう。
俺だってヨメナに、自分がアキレアだって伝えたときに拒絶されたならば、すごい落ち込んで平気で何日も寝込んでしまうかもしれない。
だから、今回の気持ちは少し分かるかもしれない。将来の自分の事のように思えたから。
俺は気分が沈んでしまった。
「俺はバカだなぁ。自分で自分の気分を沈まして…」
「そんなことはないですよシア様」
「えっ…?セレス?」
そう、いつの間にかセレスが俺の背後まで来ていた。
「シア様、自分のことを俺って言うのは女の子としてそんなによろしくないかと」
「うっ、気をつけます…で、セレスはなんでここに来たの?」
「いえ、試合をそろそろ再開させるようなので、シア様のことを一応呼びに行こうと思いまして」
「そう、ありがとう」
「………」
「………」
そして沈黙の後、セレスはなぜか俺のことについて話し始めた。
「シア様は、アキレア様だということがバレることが不安ですか?」
「不安…だね」
「シア様は、自分ごアキレア様だということを知ってもらいたいですか?」
「知ってもらいたい…のかな?」
矛盾している。バレたくないのに自分のことを知ってもらいたいなんて。
「ではシア様は、自分がアキレアだということがバレたときに、ヨメナ様に拒絶されることが不安ですか?怖いですか?」
「………」
何も答えることが出来なかった。自分の心を鷲掴みされて、何も喋れなくなってしまいそうなくらい苦しかったから。
心の中にぽっかりと穴を開けられたような感覚。そんな感覚が俺を支配した。
そのときだった。
セレスが俺のことを抱きしめた。
「不安…ですよね?怖い…ですよね?言わなくても分かっています」
「セレス…?」
「でも考えてみてください。あのヨメナ様ですよ?シア様のことを毎日のように甘やかして喜ぶような、単純な人ですよ?そんなことでシア様のことを嫌いになるわけが無いじゃないですか。もっと自信を持ってください」
そこでセレスは、俺のことをもっと強く、温かく抱きしめてくれた。さっきまで空いていた心の中の穴を埋めてくれるかのように。
「っ……」
「シア様、考えてみてください。ヨメナ様は、シア様もアキレア様もとても大好きなんですよ?それだったら二倍甘やかすようになるだけですよ?」
「それは困るなぁ…」
俺は泣きそうになりながらも掠れた声で言った。
「でもセレス、ありがと」
「いえ、このくらいいつだってやってあげますよ」
「うん、ありがと。じゃあもう少しだけこのままでいい?」
「いいですよ。存分に私の胸の感触を堪能してください」
「そ、そんなんじゃないし!」
「ふふふっ、知っていますよそんなこと」
そんな冗談を挟んで俺は、そのまましばらくセレスに抱きしめてもらったのだった。
50話まで改稿終わりました!
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