第132話 ココロVSネシカ
おまたせいたしました!
《ココロ視点》
わたくしは今待機室から出て、試合会場のフィールドへ向かっていますわ。
これがわたくしの初めての本格的な対人戦。シトレアさんやサラさんとかとは戦闘のクオリティーを上げるために剣や魔法を交えてきましたが、それでも練習は練習。今までとは違い、自分の思った通りにことが進まないことは重々承知。どんな相手でも気を抜いてはいけませんわ!
「けれど、わたくし少し可笑しいですわ。さっきまでとても緊張していましたのに」
そしてココロは立ち止まった。そして顔を上げて言った。
「今はこんなにワクワクしていますの!」
『ココロ・アリエス!』
ココロは再び歩き出した。ココロの顔は、楽しそうに笑っていた。
そして、学年トーナメントが幕を開けた。
ココロは、対戦相手と向き合って、魔法を放つ準備をする。今回のテストでは、日程がきつきつなために、一つの試合ごとに制限時間が存在する。
相手の名前は、違うクラスのネシカさん。情報によると、彼女は土魔法を得意としているらしい。といっても、まだ彼女もわたくしも一年生。まだ魔法を本格的に始めたばかり。ある程度のクオリティーしかないはずですわ。
だがココロは、対戦相手が誰であっても油断せずに全力を尽くして戦うことをもっとうとしている。そのため、全てにおいて、これだけは絶対にというものを決めていた。
まずは先手を取ること。先手の攻撃を相手に届かせることができれば、相手の動揺を誘えるからだ。
そして試合の主導権を握ること。相手のペースに飲まれてはいけない。これは基本だ。そうすれば時間切れの場合、有利に判定が進むからだ。
そして最後に。とっておきは、最後の最後まで残しておくこと。自分がここ一番に使うべきところを見抜く。それが鍵だ。
あとは始まるのを待つだけ。
そしてその時がやってきた。
「始め!!」
学園の先生が、始めの合図をし、試合が始まった。
「水弾!」
「大地の壁!」
開始と同時に、ココロの指から水の弾が無数に弾け飛んだ。そして、相手のネシカからは、大地からできた壁が形成された。そしてその壁により、ココロの魔法は全て簡単に受け止められてしまった。
「っ!」
ココロは、思っても見なかった相手の行動に揺さぶられ、声にならない驚きを見せた。だが、一旦落ち着くために相手から急いで距離をとった。
だが、それが裏目に出た。
ココロは知らなかった。優秀がゆえに。見過ごしてしまっていたのだ。相手は遠距離の戦闘を得意としていることを。
相手のネシカは、ココロが距離をとったことを確認して、次々と正確に、ココロに向かって魔法をぶつけてきたのだ。あたかもそれが狙いだったかのように。
「ぐあっ!」
ココロはその魔法をもろに喰らい、地面に倒れてしまった。だが、体勢を整えてすぐに立ち上がる。だが相手の、ネシカの魔法はどんどんとココロに向かって放たれていく。
「はぁ…はぁ…っ!くはっ!」
ついには疲労ともろに喰ったネシカの魔法で倒れてしまった。そしてココロは、今になってやっと自分が何かをやらかしてしまったことに気づいた。
「何がいけなかったんですの…?」
しっかりと作戦を考えましたのに!誰よりも努力してきたというのに!
ココロの瞳からは涙が溜まっている。だが泣きはしなかった。我慢したのだ。誰かに助けてほしい。自分の足りないところを誰かに見つけてもらいたい、言ってもらいたい一心で。
その時だった。
彼女の姿が、ココロの視界に入った。そしてココロに向かってこう言ったのだ。
「まだ負けていない」
と。もう負けそうだというのに。もう身体が動かないのに。負ける要素がたくさんあるのに。なぜ?なぜ貴方は…いえ、シトレアさん、なぜあなたは…
「君には勝利のフラグがついているから」
シトレアは、ココロの頭のてっぺん目掛けて指をさす。
「っ!?」
ココロはその言葉に何が込められていたかを理解した。そして、もう限界を迎えている身体を立たせた。
「そうです…わ。わたくしはまだ負けていないですわ。まだ立つことだって…」
そしてココロが立ったと同時に、ネシカは魔法を放った。
そしてココロにあたったと皆が思った時。
突如としてその魔法が打ち消された。そしてその周りに土煙が舞う。
「ココロ!」
こっそり観ていたシトレアが、ココロの名前を叫ぶ。そして、土煙が晴れてそこにいたのは…
「龍!?」
そう、龍がいたのだ。
「これは…」
「これはわたくしの魔法、水龍!全てのものを飲み込みますわ!!御出でなさい!!水龍!!」
「グオォォォ!!」
そしてネシカに向かって龍が襲いかかった。そして試合の勝者は…
「ココロ・アリエス!!」
そしてココロは、拳を高々と上げて気を失った。
関係状、投稿がしばらく遅くなりそう…
すみません。
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