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アクアリウム
適当に散らかった部屋
乱雑に置かれたオモチャ
忘れてしまったキモチ
静かにアソブ子供
カギの掛けられたドア
見て見ぬフリの大人はだあれ
水槽の中泳ぎまわる
カラフルな魚達
ビルの谷間を通り どこまでも進め
閉ざされた窓に外の景色映して
お気に入りの絵本
何度も聴いたレコード
枕元のぬいぐるみ
背を向けて眠る子供
閉じられたままのドア
ウソつきになったのだあれ
水槽の中泳ぎまわる
カラフルな魚達
灰色の空の下 どこまでも進め
開かない窓に外の景色映して
あふれる色と音の洪水
いつか流されて
無くしてしまった物にさえ
気付かないフリを決め込んで
泳ぎ疲れた魚達 目をこすりながら
「今日も一日ご苦労様です」
汚れた手を拭いて寝床に帰る
――2001/01/某日




