表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
114/131

刺客、襲撃!

 サティロス・ギルドに送り込まれた刺客は計8人。それぞれが凄腕の冒険者だった。


 ただ、襲いかかった相手が悪い。


 彼らはこの館にリルさんがいるとは知っていたようだが、サティロスさんまでいるとは知らなかったようだ。


 サティロスさんの腕前は言わずもがな。

 武芸百般に通じる怪力の持ち主。


 リルさんいわく、

「神威を使わない勝負ならば、私でさえ負ける」

 と言わしめるほどの達人であった。


 実際、8人の刺客はサティロスさんひとりに蹴散らされ、捕縛されていった。

 あっという間に倒され、数を減らしていく刺客たち。

 彼らはすぐに形勢が不利だと悟ると撤退を始めた。


「ち、小賢しい」


 と漏らすサティロスさん。

 館の中ならばいくらでも迎え撃てるが、外に出て追いかけ、戦うのはできない。

 人間界への不干渉、それが神獣の掟であった。


「ならば僕が追います」


 そう宣言するが、二匹の神獣は眉をしかめる。


「クロム少年、お前の実力は我々が誰よりも知っているが、おそらく、これは罠だ。お前をこの館から引き離し、個別に捕らえる気だろう」


「ですが、このまま捨て置けません。ここで一気に片を付けたい」


「少年の言に賛成だ」


 と袖を巻くし上げるリルさん。


「私も行くぞ」


「え、でも、リルさんは神獣じゃ」


「ウロボロスのやつも神獣だ」


「でも、あいつは裏で動いているだけで、決して表には出てきません」


「裏で動いている証拠を押さえればいい。やつの悪事を調べ上げ、評議会に出せば私が罪に問われることはない」



 心配する僕をよそにリルさんは続ける。

「今、知り合いの盗賊ギルドに調査を頼んでいる。あと数日で証拠は揃うそうだ。やつを自由にするより、乗り込んで縛り上げた方がいい。このままだと逃亡される恐れもある」


「分かりました。ではふたりで行きましょう」


 リルさんは首を横に振る。


「ふたりだけではないさ。我がギルドには頼れる家族がいる」


 そう言うとタイミング良く扉が開く。

 そこにはとんがり帽子をかぶった美しいエルフ、カチュアさんがいた。


「クロム君、こんな一大イベントがあるのに招集しないだなんて、お姉さんをのけ者にする気?」


 少し怒り気味にカチュアは言った。

 これでフェンリル・ギルドのメンバーはすべて揃った。


 カレンも今、盗賊ギルドにいるらしいから、全員がこの事件を解決するため、奔走していることになる。


 今ほど仲間が有り難い、心強いと思ったことはなかった。

 僕は頼れる仲間に背中を預けながら、駆け足でサティロスの館を出て行った。





 クロムたちが立ち去る姿を見送るサティロス。

 ミリシャに声を掛ける。


「気持ちよい連中だな」


「そうですね」


「自分のためではない。誰かのために120パーセントの力を出せる男。それがオレは英雄の器だと思っている」


「ならばクロムはそうですよ。なんの躊躇もなく、あたいの弟を救ってくれました。今回の件だってあたいが事件の大本なのに恨み節ひとつ言わない」


「ふ……、そういう連中には力を貸したくなる。評議会の中にはウロボロスを支援する悪党もいるだろうから、今から多数派工作をしておくか」


「……珍しいですね、サティロス様が政治工作だなんて」


「政治工作など好かんよ。だが、それであやつらが助かるのならばいくらでもしよう。あやつらが元気に生きておらねば、この先、この迷宮都市は暗闇の底に沈むことになろう」


「それはそうですね。クロムのいない迷宮都市だなんて、目玉焼きのない目玉焼きハンバーグみたいなものです」


「言い得て妙だな」


 サティロスはもう一度笑うと誰もいなくなった館を見回した。

 できればもう一度、少年と手合わせしてみたいものだ。

 次に戦うときの少年はきっと前回よりも強くなっているだろう。

 それだけは確信を持って断言することができた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ