第63話 失踪(2)
行方不明のカゴを探している間に犯人から体の一部が届いた!
ハッシュの衝撃的な一言にショックで朦朧とする俺に向かってハッシュが白い小箱を投げ渡す。
何とか落とさずにキャッチすると其処には耳と脚が入っていた。
「いやハッシュ、これはどう見ても豚足と豚耳だろう。」
「そうよ、豚の体の一部。どういう積りかしらねえ?」
「どういう積りこういう積りも行き成り体の一部とか言ったらビックリするだろう!嫌がらせか?」
「ふん!こんな時に一人楽しくお食事になんて行くからよ!」
つんつんしている。参った後でアローケス伝いにお土産で機嫌を取って貰おう。
俺は小箱を見つめてため息を付く。
「早く出て行けって所なのかな?」
◇
しかしそんな直ぐに謁見許可が出る筈も無く。
「クックちょっと来い。」
フォウさんの膝で昼寝中のクックを連れ出す。
警察に犯人からの豚足を渡すと彼らはそれが購入された近所の肉屋は直ぐに突き止めた。でもそこまでだった。
「せめて身代金でも要求してくれると動きようが有るんですけどねえ。」
刑事さんがぼやく。
ふむ。
◇
そして俺とクックはまた闘技場にいる。
メロウさんに頼まれていたのだ。
「二人共強いからもしかして本戦出場のチケットが貰えたりして?そうしたら祝杯だ!」
祝杯と言う気分では無かったのだが集中して一生懸命戦った。つまり一生懸命接戦を演じた。
結果はまたしても二人共5人抜き。3日後に行われるファイターのチャンピオンシリーズに特別枠で出場させてくれると言う。
「人間が勝つと反感を買うんじゃないのか?」
「大丈夫それは一部の者だけだ。この国を信じろ。」
メロウさんの言う通りなのだろう、だがその一部の者にカゴは攫われた。
◇
3日後は直ぐに来た。
今回は試合ごとに報酬は無く最終順位により賞金が出るらしい。1位になると何と金貨10枚、これは可成りの大金だ。2位の金貨3枚と合わせればと俺たちのワンツーフィニッシュを思い描きヒソミ笑いをする。
今まではファイターと言っても町の力自慢と言った感じだったがチャンピオンシリーズの獣人達は一味も二味も違った。とは言え手加減が減っただけで俺たちに敵う奴はいなかったが。
決勝戦はアルマジロの亜人だった。クックとは順々決勝で当たったので事前にジャンケンでわざと負ける方を決めた。クックはいつもパーしか出さないから楽勝だった。
決勝戦を戦いながら考えた。金貨10枚は大きいがこの勝利はカゴの誘拐犯を刺激こそすれ必ずいい方向には行かないだろう。メロウさんはこの時点俺が決勝へ進んだ事で十分満足して貰っている事だし此処は一つ。
接戦を演じアルマジロ亜人の良い蹴りを受けた所で倒れ込む。動かない俺にレフリーが駆け寄り瞼を拡げると手を振った。
『勝者、クフ選手!』
◇
メロウさんに肩を借りながら記者のインタビューに簡潔に答える。
出身は?クフ選手は強かったですか?好きな食べ物は?賞金は何に使いますか?
「賞金は国外で攫われた家族を持つ人への援助に寄付させていただきます。」
新聞各社はこの美談をこぞってクフ選手優勝の大見出しの下に小さく書いてくれた。これで良い。
◇
試合の二日後、王様への謁見許可が降りて謁見を前日に控えた日の朝。釈放されたカゴがホテルの前に目隠しをされたまま立っていた。
その後警察が来て犯人像の取り調べをしたがカゴは「目隠しをされていて何も見ていません」の一点張りだった。
俺は彼女が戻ってくれば其れだけで良いと言って捜査を打ち切って貰った。
◇
「良いですかな?王様との謁見は10分です。後が使えて居ますから簡潔に、そして手短にお願いします。」
事務官の亀亜人の人が何度も念を押す。
別室で丸裸にされ真っ白な服に着替えさせられた俺たちはどこのご一行様?と言った感じだ。
「次、コーコーヤのガブとその一行。入りない。」
推薦状がコーコーヤなので、コーコーヤ所属にしておいた。その方が印象も良いようだ。
「コーコーヤのガブです。王様に於かれましてはご機嫌麗しく。」
ライオンの亜人で有る王様が良く通る威厳有る声で言った。
「獣人王のナミツだ。私に話が有るそうだな?」
話す内容は予め検閲済だ、提出したのと同じ内容を話す。エノッシュという男がハニーとカナンで戦争を起そうとした事。手口は国の重要人物を買収して他国と戦争をする方法で今はコーコーヤに潜伏してコーヤとカノーの元俺たちの仲間が見張っているが次に狙われるのは隣国であるこの獣人国と思われるので注意して欲しい事。
「そうか、ご忠告感謝する。我が国には素晴らしい秩序があり大丈夫だと思うが他山の石として通達する様にする。」
聡明な王で話しが早く助かった、ハニー王ならお前らこそ何か企んでいるのでは?とかいちゃもん付けて来そうだもの。
「しかしそうなると、お前たちには私以外にもう一人会いたい人物が居るのでは無いかな?」
申請用紙に書き辛かった事を王が助け船を出してくれた。
「はい、マスターサリードにお会いしたいです。」
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