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第60話 獣人国 観光中

 あれから馬車で1日、やっと獣人国の首都に到着した俺達はまずは謁見の申請を行う。


 その後は暫くは都市観光である。


 余り派手に散財は出来ないがカゴの服を買った。すこし短めのスカートに薄手の上着と日差しが強いので日傘も一緒に。


 日傘はハッシュとアローケスも欲しがったので二人にはお揃いのを買ってやった。


 クッ子…は酒が抜けるとクックに戻っていたので何も無し。


 獣人のフォウは自分の捜索願いが出ていないか調べるために役場へ行った。


 首都には大きな湖があり、そこでカワウソの亜人さんやイルカの亜人さんが背に乗せてくれるというアトラクションをやっていた。料金は15分で一人銅貨50枚=銀貨1/2枚である。高価だったが折角なので銀貨1枚払ってカゴと一緒に乗せて貰った。


 水着を借りて木製のソリみたい物を背負った獣人さんに跨ると勢いよく水の中にダイブ!


 冷たい水に体が驚く。持つ所をしっかり握っていないと水の抵抗で引き剥がされてしまいそうだ。


 水面に上がった瞬間大きく息を吸うと水面を物凄い勢いで泳ぎ出した。


 ジグザグに泳いだり、又もぐったり。カゴは少し水を飲んだみたいで咽ていたが随分楽しんだ様だ。こんなにいい笑顔をしてくれるのなら銀貨も安い物だ。


 ハッシュとアローケスが湖上で歓声を上げている間、俺たちは薪で体を温める。暖かいミルクと小さなプディングまで付いて来た。高かっただけの事はある。


 ミルクをくれた牛人の亜人女性の話によると都の北側には遊園地もあるという。木製だが簡単なジェットコースターまであるというから明日行って見るか?


 ミルクのカップを持ったカゴが俺に体を寄せて来た。


 「寒いのか?」


 「いいえ、おとうが殺されてガブさんが助けてくれて。妹達をどうやって食べさせようかって思って居たらリノ様の所へ行かせてくれて。私ガブ様に本当に感謝しています。今こうして一緒に居れる事が幸せで堪りません。」


 イカン!最近大きさが復活した俺の下半身がムクムクと反応する。俺はカゴの幸せな気分に水を差さない様にビミョーに体の角度を捻りながらそっと頭を撫でてやる。


 ◇


 「本日から止まるホテルでは大部屋が無いので二部屋に分かれて宿泊する。初日はクックとハッシュ姉妹が左、俺たちは右。明日は早朝から遊園地に向かうので全員早く寝る様に、以上!」


 俺はマスクマンデュークの如く威風堂々と部屋割りを宣言する。


 アローケスは本日の水上アトラクションが殊の外楽しかったので明日も乗り物があると聞いてハッシュに抱き付きながら目を輝かせている。


 部屋に入ったカゴも着替えを出しながら明日の事を楽しそうに語る。


 もっもう限界だ!


 俺は後ろからカゴを抱きしめる。


 一瞬ビクッとなった小さな体は直ぐに脱力し体を俺に預けてくる。


 すまんラヘル。すまんサラ。


 ◇


 「済みませーん、役場か込んでて。今帰りました~。」


 俺は咄嗟にカゴの肩を揉みだす。


 「いやー若いのに凝ってるねえ、お胸も行っとく?」


 「やだーガブ様!」 


  鋭い裏拳が飛んで来た。当たっても痛くはないので天罰だと思い顔面で受け止める。


 「カゴさんお疲れでしたら私がマーサージをしますよ?」


 「フォウさん。もう奴隷じゃないんだから気を使わなくってもいいんですよ。今お茶を入れますからゆっくり座っていて下さい。」


 カゴは逃げ出した。


 所でフォウの親は見つかったのだろうか?


 「お陰様で両親が今海辺の田舎町に健在だって事が分かりました。謁見が終わったら帰りに依って頂く事は出来ませんでしょうか?」


 「ん?そのまま両親の所に行っていいのだよ?」


 「いえ、私はハニー国に戻らなくてはいけませんので…」


 「マタロンには解放してから託したから奴隷じゃなくなったんだよね?なんで? 出稼ぎ? ここの方がいい仕事ありそうじゃない?」


 フォウは頬を赤らめ大きな体をモジモジながら小声で言う。


 「ロディオン様が私が居ないと寂しくて夜も寝れないと…」


 「誰それ?」


 「マルティーニ・タ・ロディオン様です。ガブ様も良くご存知の。ポッ」


 へーーーーーそうなんだ。ふうぅぅんそうなんだ。あの堅物マタロンがねえ。まあフォウさん包容力あるし何より本人が幸せそうだし良い事にしよう。


 俺はフォウさんに祝福を述べるとそのまま根っこが折れた枯れ木の様にベットに倒れ込んだ。



 「よーし全員集合ー!この遊園地は広いから迷子の時はこの入口近くに戻って待つように。皆大人なんだからきちんと集団行動をしてくれ。チケットは今から渡すが中の乗り物は別途料金が掛かるらしいが支払いは専用のコインで行う様なので一人10枚先に渡して於く。コインは飲食にも使える無くさない様にな。とくにクック!フォウさんクックが飛んでいかない様にその紐を持っていてください。」


 ハッシュとアローケスは餌を待てと言われた犬みたいに入れ込んでいる。


 案の定二人は俺からチケットとコインを受け取るや否や入口ゲートに向かって走り出した。


 「待てって言うのに!」


 二人は早速回転木馬に入って行った。意外な事にクックとフォウも回転木馬にチャレンジする様だ。


 俺はコーヒーを飲みながらカゴと一緒に奴らに手を振った。


 「カゴ、お前は乗らなくて良かったのか?」


 「せっかくならガブ様と一緒に乗りたいです。」


 それならという事で早速だがここの目玉である木製コースターへと向かう。


 スクリューは無いが高さ20m大櫓からの2回転ループは中々どうして立派な物である。コースターが走る度に黄色い絶叫が青空を突き抜けて行く。


 30分程並んで俺たちの番が来た。仲良く二人並んで座席に座る。


 「一番前って緊張しますね?」


 「うむ、ベルトを良く締めておくんだぞ?」


 20mなんて高さなど大した事は無い。だってアローケスに投げられたらそれ位かるく飛べるから。


 ”ガコン”


 何かのロックが外れてコースターが動き出す。後ろからは虎人のお兄さんが一生懸命押してくれている。


 ”ガクン、ガタガタガタガタ”


 胃袋が浮かび上がって捕まれる様な感覚の中レール上を物凄い勢いで落下する。


 「きゃあぁぁぁーーー」


 名誉の為に言って於くが勿論俺では無くカゴの絶叫である。必死で俺に捕まって来るところが堪らなく可愛い。


 コースターは最大速度のままループに入る。1回・2回。彼女は隣でカゴがケタケタと笑いだした、とても楽しそうである。


 「あー怖った。でも面白かったですね、ガブ様。私もう一回乗りたいです。」


 ハッシュたちには昼に門前集合という事にしてその後2回並んで乗った。女の子って案外こういうの好きなんだ?


 さて、この次はどうする?


読んで頂き有難うございます。

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