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第57話 ゴリラ町長さんがキリッ

誤字・脱字を訂正しました。

 獣人国へは人族のみで入国が出来ない。

 

 なので獣人を呼び寄せた。俺が西都に居た頃に買い取って開放した元奴隷のフォウである。奴隷商では大きな猫娘と聞いていたが本人によると実は虎娘だという。やっぱり!大きすぎるんだもの。


 ハニーランドに居た彼女は10日掛けてコーヤまで来てくれた。送り出してくれたイシュアにも感謝だ。イシュアはフォウさんが務める現在の館の主人、本当は長い名前のマタロンの上司だ。実際彼女は女王なので国のトップでもある。イシュアにはクックの鳩を使って2週間前から連絡して於いたのだ。今回の召集は実は俺たちの入国が第一の目的の為ではない、前から故郷である獣人国に帰して上げようと思っていたからだ。


 「ガブ様、呼んで頂いて有難うございます。」


 可愛い白いワンピース姿のフォウがお辞儀をすると小さな花柄がとても清楚に見えた。イシュアも中々趣味の良い服をくれた物だ。


 「ポンコツオマイとその保証人アンナは暫くコーコーヤで労働だ。聞けば獣人国に入るときには獣人の同伴が必要らしいので手を貸してくれるか?」


 カゴが俺の後ろでフォウの事をおっかなビックリ見上げている。


 そうそう、カゴの事だがどうしても一緒に行きたいという物だから今回の旅に限り連れて行く事にした。リノからは貴重な厨房要員を連れて行くなと文句を言われたがまあ少しくらいいいだろう。


 カゴには軽い木の素材で出来た鎧を着させている。リザードマンの皮鎧とどっちにするか迷ったが獣人族でワニや蛇系の人種と出会った時にも気まずくない方を選んだ。えっ木人系?いやそう言うのはエルフ国に住んで居そうな気がするから。


 コーコーヤから西へ、西へと山道を馬車に揺られ国境のクレパスを渡ると入国審査を受ける。


 周りは立派な体躯をしたワニ人が樹皮の鎧を着こんで槍を持って立ち並んでいる。


 一方目の前の審査官はネズミである。


 失礼、カピパラを少しスリムにしたようなラット亜人さんである。


「おまいら入国の目的は?」


「観光です。」


「滞在期間は?泊まる宿は決まっているのか?」


「期間は2か月程で宿は未だですけど首都に行ってここにいるフォウに探して貰おうと考えています。」


「ふむ足は馬車だな?危険や薬物を積んでいないか検査する。通行費用と合わせて銀貨1枚必要だが滞在費は十分持っているか?」


「はい観光できる程十分に。」 ニッコリ笑うが、まあ嘘である。


「では荷物を調べる。薬物の他に爆弾や大型の兵器も持ち込み禁止だ。剣は長さ1m以内で鞘付きに限り1本所持できる。槍は槍先を付けてはいかん。」


 それって唯の棒じゃないんですか?


 無事審査を終え馬車のチェックもクリアした俺たちは滞在許可証を貰うと馬車を走らせる。


 御者席の隣はカゴが楽しそうに座っている。


 「ガブ様この馬車は早いですねえ。あっ見て下さい、珍しい鳥が!」


 うわっ大仏の顔をした嘴の短い鳥が何という事かブツブツ呟きながら羽ばたいて行く。


 「ガブ様!あそこに大きな蝶が」


 うげげっ樹液を吸っている蝶が1mくらい有るんですけど…。あんなのが飛んで来たら思わず逃げてしまいそうだ。


 「早く森を抜けたいな。フォウ、次の町までどれくらいだ?!」


 馬車の中からフォウが国境で貰った地図と睨めっこしながら馬車で2日程行った所に町があると言う。


 ふむ、1回は野宿確定か…まあカゴとフォウだけ馬車で休ませれば後は何が襲って来ても大丈夫な面子であるからまあいいか?



 ◇


 獣人国で初めて訪れた町はゴリラ亜人さんが町長を務める町だった。

 

 町には普通に食料品店に洋服屋、武器屋、防具屋、飲食店等が立ち並び、そこは往来を馬車が行きかう活気あふれた町だった。勝手に藪の中に粗末なあばら家が建ち並び半農半狩猟の生活なんて物を想像していた俺は獣人を侮って居た事に気が付いて反省した。


 役場に滞在許可を提出すると珍しい客に町長自らが会ってくれると言う。


「フォウ、俺たち見たいなヒューマノイド型は珍しいのか?」


「ええ、昔はよく獣人の子供を攫いに来たみたいですが国境が整備され無断で侵入した者は投獄される事が周辺国とも合意された辺りからメッキリ減った見たいですね。ですから今は基本的に獣人の方から外の国へ物を売り買いに出かける形態を取っています。」


「フォウは攫われたと言っていたが何処で?」


「親がハニーランドで買い付け中に言いつけを守らず一人で町にでたんです。馬鹿な子供ですよね?」


「ではフォウの親御さんを知っているか町長にも聞いて見よう。」


”ガチャリ”


 やけに巨大なドアノブだなあとは思っていたが、一緒に入ってきた猫人秘書さんがミニチュアに見えてしまうほど巨大なゴリラ亜人さんを見て納得した。服は白い腰布と肩から斜めに布を掛けているだけで涼し気だ。靴は履いていないがきっと足の裏が頑丈で必要ないのだろう。


 「お待たせしました、私がこの町の町長をしていますアレックスです。」


 握手を求められたが手を差し出すと俺の二の腕がすっぽり彼の掌に隠れてしまった。


 「町長さんは随分お力がありそうですね?」


 「ははは、有難うございます。実は町の腕相撲チャンピオンでもあります。この町は如何ですか?手前味噌になりますが人口3万人のこの町では去年の犯罪が実に1件。統計的に率に直すと1ppm未満でした。その犯罪と言うのも多寡が酔っぱらいの殴り合いでしたがね、すぐ二人共捕まえましたよ。それに加えて実質経済成長率は3.5%で国の平均から比べましても優秀な部類だと自負しています。」


 うーん、この町長まともだ。まとも過ぎて怖い。マスター・カノーと話が合うんじゃないの?


 「確か獣人国は国王制と聞きましたが?」


 ハッシュが質問する。


 「ええ、国王様はライオン亜人で強くて聡明な方です。この国へは国王様にお会いに?」


 「はい、でも会って頂けますでしょうか?」


 「入国許可証は最高ランクから一つ下のA、これは他国の王族のSの下で貴賓扱いです。余程強力な推薦状をお持ちだったのでしょう。大丈夫、王都で適正に申請されれば時間は掛かってもきっと会えますよ。」


 あれだな、リノに越境申請書類を書いてもらったが其れにコーヤが一筆書いてくれた手紙を添えたのが効いているんだな。


 「所で、そちらの聡明そうなお嬢さん方はかなりのお力をお持ちの様です。良ければ私と種付けなど如何ですか?」

読んで頂き有難うございます。

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