第54話 大リーグ7号
エノッシュを追う俺はルシ夫の気配を頼りに地下へと繋がる暗穴へ飛び込んだ。
深さは10m程。落下する間に突然灯りが点灯した。
着地した俺の目の前にはまたもや筋肉少女が仁王立ちしていた。これが新しいハッシュの妹だろう。
「私の名はダイリーグ。マスター・エノッシュ様制作の最新型にして最強のキャプテン!」
「それはどうも。雑魚キャラがやられる前によく聞く口上だな、俺は言うなれば貴様らキャプテンシリーズの兄だ。悪い事をする妹の躾も義務の内!ぐばぁっ」
殴られた俺は訳も分からず吹き飛ばされた。
やばい。アローケスほど力を感じ無かったのにそアローケスの力を奪った俺が簡単に先制を許すとは。こいつ強さは4号以上だ。
「んっ?お前7号と言ったな?アローケスは4号、5と6はどうした?」
「5号はマスターを守っているわ。6号は…邪魔な不老者達を捕まえに!」
”ガッ”
また攻撃を貰ってしまった。これは支援が居る。しかも早く倒してコーヤの所に戻らないとまずい。6号とやらが此奴並みに強かった場合残った4女一人では守り切れない。せめてクックを守りに置いて来るんだった。
◇
その頃。
「貴方、のんびり新聞を読んでいないで!侵入者よ。」
「なあに、君の所の娘が一人いるじゃないか。」
「全く危機管理のなっていない人ね。それでもマニュアルに従ってシェルターに非難よ。さあルシ夫のお友達もあせらず急いでね。」
「ふふふふ、逃がさないわ。マスターコーヤにマスターカノーね。私の名はセネセデ、エノッシュ様の所まで来て貰う。」
「うおぉぉー!」
ドッコイセン姉妹の4女が雄たけびを上げながら襲撃者に殴り掛かる。
「セネ・プリズン!」
セネセデは4女の拳を片手で受け止めると、詠唱破棄で魔法を唱える。
すると無数の棘で覆われた光の長槍が次々と4女を襲い、あっと言う間に彼女を取り囲むと監獄の様に閉じ込めてしまった。
「出せー!」
叫ぶ4女さんを尻目に黄金色の鎧に身を包んだ筋肉少女セネセデは不敵に笑いながらコーヤとカノー達に迫る。
「クッポー」
「貴方は!」
◇
俺は遅れて降りて来たアンナとオマイに支援を指示する。
詠唱中の無防備な二人を守るべくサンドバックに成りながら必死に耐える俺。
「くっしぶとい!」
敵が痺れを切らした、今だ!
二人からの支援魔法を受けてほんのりと輝く俺の四肢。
悔しいがこれでやっと互角の様だ。
「ルシ夫ー!ドッコイセン!ハーッシュ!アローケス!頼む手伝ってくれ!」
”ガボッ”
左手で壁が崩れてドッコイセンさんがぐったりしたルシ夫を抱えて出て来た。それに続いてフォークリフト見たいなのが出てくる。
「こいつに手間取ってしまって!アンナさんこの子の回復を頼みます。」
”ガボッ”
奥の壁が崩れ3女さんがやはりフォークリフトと戦いながら出てくる。この調子だと次女さんも近くで戦闘中だな。
”ガボッ”後ろの壁からはハッシュとアローケスが筋肉モードで出て来た。機械はついてこない、さすが最強二人組。
ハッシュは苦戦している俺を見ると自分の胸から黒体を浮かび上がらせると其れをアローケスに手渡す。
右手に黒体を持ったアローケスは跳躍しそのまま黒体を俺に叩き込んだ。入った!俺の体が追加黒体を受け入れてくれた。
支援が切れる前に方を付けなけば成らないが、経験的に俺のパワーが上がると反比例して支援魔法の継続時間が短くなる。つまり残り時間僅かだ。
「うおぉぉぉー!」
形成の逆転した俺は目の前の筋肉少女をタコ殴りにする。
ダイリーグが気を失った時丁度俺の体から支援の光が霧散しアローケスと協力したドッコイセン姉妹達も機械達を制圧し終わった所であった。
◇
「クック君良い所に。ナイスよ!」
女神コーヤの誉め言葉に頭をポリポリ掻いて照れるクック。
「旧型の戦士が出しゃばるな!」
セネセデは幾筋もの光を放つ。しかしクックは素早く避けまくる。
その隙にコーヤが4女を捉える光のプリズンへ闇魔法を撃ちこみ牢を破壊する事に成功した。
「コーヤ様!我々が食い止めている間にお逃げください!」
解放された4女がクックと連携しながらセネセデを攻撃するがそれは倒すというより牽制だった。
「貴方シェルターを強制転移させるわ。早く!」
セネセデに追われたコーヤたちは隠れ家を放棄し逃げ出した。
◇
「シュー!不味い、ダイリーグが負けた!撤退するぞ。」
エノッシュの隠れ家は屋敷の地下3階。ダイリーグが戦っている場所から2層下である。
「どちらへ転送しますか?」
シューと呼ばれた筋肉少女は落ち着いて確認する。
「首都の隠れ家にしよう。葉を隠すなら森の中だ。」
シューがレバーを下げると魔法陣が発動する。
エノッシュが転送陣に進みとその姿はかき消える。シューはそれを確かめると壁のガラスを破ると赤いキノコボタンを押すと同時に魔法陣へ飛び込む。
”どうっ”
爆発が巻き起こり地下室が3層に渡って底が抜ける。
上に向かう爆風と重力で落ちてくる屋敷に巻き込まれ俺たちは瓦礫の渦に翻弄される。
まずい、アンナ達のバリアにはこの瓦礫の質量は大きすぎる。
「アンナーーー!」
しかしその叫びは轟音にかき消されてしまった。
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