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第50話 笑トレ(初)

オク大臣が自害した。直前に守護神カノーがカナン国を見限った事を独白して。


 それから王宮は上へ下への大騒ぎになった。カノーという大賢者との折衝は代々経済大臣の役であったが今代のオクが血迷ってカノーを閉じ込めてしまっていた事が此処に来てやっと発覚したのだ。


 カノーという存在を知っていたのが国の極一部だった事も災いした。兵達は知らず知らず命令され真の指導者を幽閉してしまったのだ。


 救出されたカノーに王達は平伏して詫びたが直後カノーは行方を晦ました。噂ではコーコーヤを訪れたらしい。今後コーコーヤが急激な経済発展を遂げるかどうかは見ものである。


 さて俺はと言うと、


「リノ、お前の所の領民だ。ハーレム団の飯炊きに加えろ。但し手を出したら殺す。触っても指を折る。」


 カゴ姉妹の上から一番下のチビまで纏めて押し付けた。


 リノは助けて貰ったお礼だと言って快く引き受けてくれた。基本的に面倒見が良く気のいい奴なのだ。


 別れ際にカゴが俺にしがみ付き中々離れなかったがカサムもアンナも何も言わず目を瞑ってくれた。


 またカサムに至っては耳元で「早く迎えに来てね」と囁くと耳にキスをしてくれた。


 ルシ夫はPTを含めて残留。  


 アローケスに案内してもらいエノッシュの隠れ家に乗り込んで見たりもしたが予想通り蛻の殻だった。


「この鎧の竜の目が通信機になっていて会話は全て聴かれていますので。」


予めそう断ってくれて居たのでガッカリもしなかったよ。


でも収穫があった。妙な機械の中に小さいが黒体が2個も残っていたのだ。


一つは俺が貰いもう一つはハッシュにやった。


 ハッシュが黒体の力で出会った頃の筋肉少女に戻るとアローケスが大喜びで抱き付いていた。うーん、筋肉の殿堂が2体で抱き合っている所を見ても正直ねえ…彫刻鑑賞している気分にはなれるけどねえ。しかし直ぐに元の少女の姿に戻ると彼女は言った。


「アローケスも普段は戦闘隊形を解きなさい。目立って仕方がないわ。」


 ナイス!ハッシュ。アローケス一人でも目立って仕方が無いから困っていたのだ。しかし意図的に小さくなる事も出来たとは知らなかった。


 驚いた事が二つあった。一つはアローケスが縮むとハッシュそっくりの美少女になった事、もう一つ驚いたのが鎧が体に合わせて縮んだ事である。


「特殊な鎧だと仰っていました。」


 まあ飛びきり特殊な部類だろう。俺がいくら攻撃しても壊れなったし。


 エノッシュの科学力って本当に途轍もない。奴が進化馬鹿で良かったよ、世界征服なんて朝飯前って感じの科学力を持っているもんなあ。


「ガブ様はこれから如何するのですか?」


最近俺の事を様付きで呼んでくれるようになったハッシュが尋ねて来た。少し照れてしまう。


「オマイを連れ戻しにエルフの国に行く。そのあとエノッシュを探す。」


それと誰にも言って居ないが俺にはエノッシュを捕まえてラヘルを元通りにさせるという最終目的もある。


「あのー、オマイの代わりは私が務めますので」


オマイニーが鈴虫の様な声で言って来るが速攻で却下した。


「ダメだ!少なくとも今のままでは不合格!まず会話の最初には『はははは、』と馬鹿笑いしてから始めるのだ!」


「はははは、ですか?」


「もっと、軽薄そうな感じで!」


「はははは、」


「もっと体の芯から馬鹿っぽさを曝け出して!」


「ははははー(涙)」




…『はい、順調です。ガブリエルはエルフ国かコーコーヤ国か迷っている様です。おそらくはマスターの元へ向かう物と。いえ、疑われてはいません。はい、はい。分かりました。では。』



「全員集合ー!」


流石に小さな部屋なので皆を集めると窮屈である。


「オマイ2号が無事に発音をマスターしたので目的地を変更する。これから俺たちはカサムの待つコーコーヤに向かって出発する。」


「行ってどうするの?カサムとイチャイチャしたいのかしら?」


 アンナが胸の前で腕組しながら言った。なんだ?胸の上に巨乳を乗せて自慢したいのか?俺だってつい先ごろまでCカップくらい有ったぞ。


「勿論それもあるが一つにエノッシュの足取りを追うためだ。奴は戦争を起したがっている。前回はハニーランド、今回カナンでやらかしたから次は北西にある巨人が住む国か南西のコーコーヤしか無い。そして巨人は物凄く山奥に住んでいて滅多に会えない。だからコーコーヤだ。最も海の中で戦争をしたいなら別だがな。」


主にルシ夫チームからだがパチパチと拍手が起こる。我ながら名推理だ。


「師匠、凄いっす。男に戻っても惚れ惚れするっす。」


 えーとルシ夫君。お前って最近雑魚キャラ化してきているが出会った頃はもっとこう天上天下唯我独尊って雰囲気が…ほら、パーティーメンバーの魔道師ナアさんやシーフのニジさんも苦笑しているぞ。白魔導士のドッコイセンさんだけはやんちゃな子供を見るような暖かい目で見守ってくれているが。


「ガブリエル様、コーコーヤでカサム様に会われるのでしたらコーヤ様を訪ねて見られては?」


突然ドッコイセンさんにそう言われて俺は驚いてしまった。


「えーっとコーヤって誰?それとその呼び方好きじゃないんで…」


ドッコイセンさんは顔を赤らめた。


「あっそうだったんですか、申し訳ありません。ハッシュ様から伺って素敵なお名前だと思ってしまったの物ですから。こらからは気を付けます。それでコーヤ様というのはコーコーヤを治める女神様の事です。」


「居場所は王族以外知らないらしいね。一説によるとコーコーヤ誕生時から存在しているのに今も若くて一切年を取って居ないらしいと聞く。」


「はいアウトー。オマイ2号は腕立て10回!」


オマイ2号が語頭の句を忘れたので腕立て伏せ10回の罰を与える。


「はははは、はちー。はははは、くー」


頑張れ。


「女神様は国中の事を手に取る様にご存知と聞きます。ガブ様の探す男の行方もきっとご存知でしょう。」


それは良いことを聞いた。


 似顔絵業が順調でカナンを離れたくないとごねるヨエの尻を叩き無理やり馬車に詰め込むと3両編成の馬車団でコーコーヤを目指して旅立つ。もちろんハッシュとアローケスも連れて行く。ハッシュはエノッシュに捨てられてから元気が無くて可哀そうだしアローケスはハッシュっ子なのでセット扱いだ。


『あら、やっぱり台風の目もこっちへ向かってきたわ。うちの子とどっちが強いかしら?』

何時も読んで頂き有難うございます。

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