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第47話 舞い降りる轟雷の天使

 「オク様!兵量が不足しています。一部には脱走兵も。」


 「一刻も早く首都を囲み兵を突入させるのだ。首都周辺まで行けば途中穀倉地帯もある。そこで軍は息を吹き返す!」


 鎧に身を固めたアローケスは興味無さそうに身じろぎもせず立っている。


 彼女の使命はオクの逃亡監視である。オクにはその身が亡ぶまで戦争を続けて貰わなくてはならなかった。


 「誰だ!グハッ」


 天幕の外が騒がしくなって来た。しかしアローケスは動かない。


 オクが苛立ちながら将兵に命令する。


 「誰か様子を見て来い!」


 悲鳴の様な叫び声が天幕の周りで沸き起こる。敵は手練れか?それとも大群か?


 突如アローケスが抜刀し天幕を水平に切り裂いた。


 ◇


 俺は鎧に身を固めた正規兵達がたむろするど真ん中へと飛び込んだ。一人、二人と首を狙って切り捨てる。


 直ぐに切れ味が落ちて来た剣を投げ捨てると倒れた兵の腰にささるっていた立派な刀を抜く。


 「どぅりゃー!」


 気合を入れて将兵が斬り込んで来るが蹴り飛ばしてやった。時間を掛けると直ぐに兵が集まってきて自衛の為に魔法で焼き払う羽目になる。正直な所其処まではしたくなかった。


 一際立派な天幕に近寄ると行き成り中から水平剣戟が飛んで来た。一瞬でバックステップしたが胸を少し切られようだ。


 天幕から出て来たのは巨漢。竜をあしらった褐色の鎧に身を包んだ立派な猛者だった。その陰に神経質そうな顔をした一際豪奢な鎧を付けた奴がいる。彼奴がオク大臣で間違い無かろう。


 「フレイムヘイル!」


 目の前の巨漢目がけ魔法の火矢を雹が如く鎧に叩き込んだ。並みの鎧なら砕け散ってもおかしく無い衝撃にビクともしていない鎧を見て認識を改める。


 こいつエノッシュの手先だ!


 オクが逃げ出したが今は放置しよう。奴には後々口を割って貰わなくてはいけないから、今近くに居られてはオチオチ全力が出せないのである。


 この先は周りの兵は巻き込む事になるが躊躇はしない心算だった。


 世の中全て丸くなんて収まらないし、そもそも他国に攻め入ったのだから反撃に会う事も織り込み済だろうからな!


 「うおぉぉおお!」


 体の芯から魔力を絞り出し右腕に乗せる。


 「フレイム・ヒュージフェニックス!」


 その名の通り大きな火の鳥が現れ、燃え上がった。こいつの恐ろしさは両翼10mにも及ぶ大きさでも羽ばたきが巻き起こす超高温の風でも無い。その炎が持つ属性だ。


 この炎は生命力を燃料に燃やす。つまり剣で斬れるし盾で防げるのだが、一旦体に触れるとその生命力を燃やし尽くすまで消えないのだ。欠点は自分に火が付いた時は流石に術を解除する他ない所。


 ◇


 驚いた。


 火だるまになっても倒れない生き物って炎龍くらいかと思っていた。


 兵達が燃え盛り走り回る中、全身から炎を吹き上げた鎧武者が俺に襲い掛かる。


 やも得ず術を解除した。


 そして見る限りでは奴は無傷である。恐らく全身から精気を噴出し炎の進行を食い止めたのだろう。驚くべき貯蔵量である。普通そんなことをすれば10秒も立たない内に失神する。俺は心の中で呟いた。


 ちょっと勝てないかも知れない…


 ◇


 ◇


 そして今は逃走中である。えっ格好悪いって?


 では言い直そう、現在は戦略的撤退中である。



 後ろから地響きを鳴らしながら鎧武者が追いかけてくる。


 頭をフル回転させ此奴に効きそうな魔法を検索しているがどうにも思いつかない。


 肉弾戦はこの剣では分が悪そうだったが一か八かで打ち合って見る?


 だめだった。


 数合打ち合っただけで、剣は折れるし弾き飛ばされるしで良いところがなかった。こいつ絶対ハッシュの倍くらい強いだろう?


 ああ、せめてクッ子が居れば。そう思いながら兎に角走る。


 川だ!


 ザブンと飛び込み流れに乗って下流へ泳いだ。


 いやぁああ、ゴツイ鎧着たまま泳いでくるなよ!沈めよ!!



 あっダメ。追いつかれた。




 …その時、


『テラサンダー!』


 澄んだ奇麗な声で、水辺で使っちゃいけない魔法ランキング1位の雷魔法、それも最上位系の強力な物が落ちて来たでは無いか。


「あばばばば」


 当然俺も痺れます。


 敵共々、溺れそうになりながらやっとの事で水から上がると癒しの光が体を覆った。


「ヒール」


 その声!! 俺は顔を上げると我武者羅に声の主に抱き付いた。


「ガブの馬鹿!私まで濡れちゃったじゃないの!」


「アンナ、支援だ!支援を掛けてくれ。あいつ無茶苦茶強いんだ。」


 アンナに支援を掛けて貰っている間に俺は辺りをキョロキョロ見回す。


「オマイ?オマイはどうした?」


 彼女は少し困った様顔をした。


「えーっと言いにくい事なんだけど。オマイは居ないの。」


 嘘だ。先ほどの雷魔法は凄かった。あんなのを打てる魔導士なんてそうそう…そう言えば声が可愛らしかった?


 馬車の上には銀色の髪をしたお胸に全く贅肉の無い娘が立っていた。そしてクッ子も!


 信じられん。クッ子のトサカを年季の入った手つきで撫でまわしている。こいつ、何者だ?


「えーっと。彼女、ピュレーンさんの妹さんで名前は…」


「オマイニーです、ガブさん。姉を助けて頂き有難うございました。私が援護しますから皆であいつを倒しましょう!」

オマイが戻って来ました!何時も読んで頂き有難うございます。

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