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第44話 そいつが手下だ

「このクジャクは白黒では無いか!白いクジャクと言っておきながら、コーコーヤ国はカナンを愚弄するのか!?」


リノは呆然と鳥かごの中身を見る。ベールを取ったかごの中には白黒模様の鳥が1匹。


昨日まで籠の中には染み一つない純白のクジャクが入っていた。謁見前に城に停泊したがその間に誰かがすり替えたのか?


 しかしクジャクの脚には魔導リングが付いていて行く先が分かる様になっている。目の前のクジャクに付いているリングは確かに変わっていない。


「こっこれは何かの間違いです。コーコーヤはカナンの友好国です。」


弁明するリノを衛兵が取り押さえ牢へ連れて行く。同行していたグラとサランも一緒に捕まった。


本気を出せばリノは衛兵を倒して脱出できたのだがそれでは大問題に輪をかけてしまう。


苦渋の決断で大人しく牢に入ったのだった。


遡る事、その日の午前中。


「ガブー私よー貴方のカサムが来たわよー。もう!探すの大変だったんだから。ギルドに聞いて来たのよ。開けてー。クッ子ちゃんー?お土産のお豆だよー。」


 豆に釣られたクッ子は簡単に扉を開けた。今は頭のトサカを撫でられ気持ちよさそうに半目になっている。


「只今ー。あんな簡単な仕事で金貨3枚だなんて私その内大金持ちになってたりして。」


 ホクホク顔でヨエが帰ってきた。仕事は順調に行った様で良かった。


 仕方が無いのでカサムを紹介する。


 ヨエから俺が本当に男であると何やらスケッチブックを見せられながらカサムが説明を受ける。


 両手を口に当て相当驚いている様だ。


 ヨエがスケッチブックを閉じるとカサムが俺の傍にやってきて背中を摩りながら優しく言った。


「私が全部受け止めて上げるから元気を出して。」


 何を口だけを... とは思わなかった。


 励ましてくれた事を純粋に嬉しいと思った。


 昔の俺は強かった。無知で無謀だけだったかも知れないが何にも負ける気なんてしなかった。


 今ではあの頃より体は強くなったが心は迷い誰かの支えを欲していた。


 「ちょっと大変!今仕事先の旦那さんが帰ってきて今からカナンと戦争になるって!」


 飛び込んで来たハッシュは城の下級兵士である勤め先の旦那から聞いた話を興奮して伝える。彼は王の命によりカナン国の使者を牢に居れる所を見たと言うのだ。


 「なぜそんなことに?!」


 カサムが取り乱す。俺はカサムの肩を優しく抱き寄せる。


 そんな俺たちを見たハッシュが訝しげに見ていたが白いクジャクに模様が出たくだりになってヨエが「ひょっ」と妙な声を出した。


 「ひょって、ひょっとしてヨエの仕業か?」


 「だって貴族の人が自分のペットだって。白いから他のクジャクから虐められて可哀そうだから模様を付けて上げてくれっていうから。」


 「騙されたのね」 


 カサムがヨエを睨む。


 「ヨエでかしたぞ!」


 いきなり俺がヨエを褒めると全員何事かと驚いた。いや、クッ子だけは自由奔放に胸を揺らしながら部屋中を飛び回っていた。


 「だってそいつ等の目的は国を仲たがいさせて戦争させる事なんだろ?つまりその貴族がエノッシュの手先だ、やっと尻尾を掴んだ今度こそ奴を逃がす物か!」


 「そっそうか、じゃあその貴族の似顔絵を描くね。その前にクジャクのペイントを解除して…」


 「カサム協力してくれるか?」


 「ええ勿論。リノ達も助けなくちゃいけないからぜひ協力させて。」


 「ハッシュ、お前も来い。」

 

 「エノッシュ様に酷い事するんだったら手伝わないから。」


 「大丈夫。殺したり拷問したり絶対にしない。」


 そう、しばらくはな。少なくともラヘルを元に戻すまでは生かして於いてやる。



 「その似顔絵の男はミンツ伯爵というそうです。」


 ハッシュが勤め先の下級衛兵宅で似顔を元に聞き込みをした結果、リノを嵌めたのはミンツ伯爵という北部に屋敷を持つ貴族だという事が分かった。


 俺たちは屋敷に着くと門を強引に引き曲げ侵入した。その怪力ぶりにカサムが少し引いていた。


 何度も屋敷の女中に見つかったがその度当身で気絶させては進む。


 屋敷の3階に進んだところで女中を一人捕まえると猿轡をした上で主の部屋まで案内させた。まあやっている事は押し込み強盗と変わらない。


 そして部屋に居たミンツ伯爵を捉えると簀巻きにして持ち帰った。


 ◇


 貸家に戻ると早速尋問を始める。


 ミンツ伯爵は素直に吐いてくれた。


 大臣の一人に命令されてやったという。


 大臣の名前はオク。


 黒幕は大臣か。捕まえるのが面倒そうだ。

何時も読んで頂き有難うございます。

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