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第41話 俺は未だ

1週間後、一行は目的地であるコーコーヤに着いた。国の名前である事から分かる様に首都である。


どうでも良い事だがオブツーハ・シャ-ダック警備隊長は大した活躍も無いまま入院した。


リノ達は王宮に用事があるらしい。


「ガブとクっ子もおいでよ。」


グラとカサムに誘われたが冒険者ギルドに用事があると言って断った。商隊からは報酬を貰ったが此のままただ帰るのでは勿体ない。帰りもクエストを受けるのである。


「冒険者登録ですか?銀貨30枚のコースと銀貨1枚「安い方で頼む。」…」


何だろう?カナンと同じシステムである。


俺たちが地下に降りると丁度前の試合が始まったばかりだった。


 Sランクの本部要員キプーというマーシャルアーツ使いと地方から出て来たCランク冒険者ルシ夫との対戦だった。なぜCランクの相手がSなんだ?可哀そうだろうと聞くと今日は他が出払っているらしい。という事は俺とクックの相手もあのSランクという事になる。先にクックに倒して貰おうかな?気乗りがしなかった。


 ふと意識を現実に戻すと場内のざわめきがピークを迎えている。きっと勝負が付いたのだろう。


「しょっ勝者はルシフーーー!」


 なっ!? CランクがSランクを倒しただと?


 改めてリング上で女性客にアピールをするルシ夫という男を見る。


 体の造りは冒険者にしては普通だ。少なくともパワータイプではない。顔は不細工では無いが飛び切りハンサムという訳でではない。服装もそこらに売ってある様な平凡な物。だが…


「はははは、どうだ惚れただろう!世界の英雄になるこのルシ夫様!ファンになるなら今の内だぞ。」


…超の付くほど、あほだった。


職員が申し訳なさそうに俺たちの所に来て言う。


「ガブさん、クっ子さん。申し訳ありませんが試験官が怪我で今日は試験が出来なくなりました。」


「あそこで元気良さそうにしているのが居るじゃないか?」


「えっ?」


「試験官を倒した奴を倒したら合格にしてくれないか?」


職員は上司に相談すると言って姿を消した。


そして提案は通った様だ。


俺がリングに上がるとルシ夫が近寄って来た。


「姉さん、さっきの試合見てなかったのかい?俺はSランクを倒して一気にAに昇格したんだ。あんた見た所Cの上って所だし怪我をする前に帰んなよ。」


「俺が勝ったらどうする?」


ルシ夫は自信満々に言った。


「お前の男になってやる!」


いや、要らないからね!


『カーン』


試合が始まってまず驚いたのは此方側だった。前の試合を見て居なかったが目の間の男の動きが早い。そう、彼は物凄いスピードの持ち主だった。


「まるでクックと戦っている様だぜ。」


俺はため息を付くと超高速で正面から近寄ったルシ夫の頬を思いっきり平手打ちした。


”ばしーん”


 当然ルシ夫は場外に吹き飛ばされ壁に体を打ち付けると床にずり落ちる。


 まあこれで起き上がって来れるようなら少しは本気で相手をしてやろうか?


 しかし予想を裏切り、ルシ夫は直ぐさま起き上がるとリングに戻ってきた。おかしいな?首が少しくらい曲がっていてもおかしくない程の衝撃を与えたつもりだったが。


 直ぐに正拳と肘を入れ再び場外へ吹き飛ばす。正中に肘を入れた時に分かった。この感覚はハッシュと戦った時の違和感だ。こいつ黒体持ちだ間違いない!


 流石によろめきながらリングに戻って来たルシ夫はやっぱりアホだった。


「ハア、ハア、姉さん強いな...。名前を教えてくれよ。」


「俺に勝ったら教えてやる。」


「 ハア、ハア、…だ。」


 聞き返しちゃいけない予感がした。背筋を悪寒が走る。思わず耳を塞ごうとするが少しだけ手遅れだった。


「惚れた!好きだー!勝ったら結婚してくれーーーー!」


 好意のお礼にトラックに惹かれたごみ袋と見間違える程まで殴ってあげました。



医務室にて。


 ルシ夫が勝ち試合でアピールしていた女性達は、実は彼のPTメンバーだった。ちっ!こいつもハーレム野郎だったのか。


 女性の一人ドッコイセンさんがルシ夫にハイヒールを施す。


 彼女は面白い名前だが、容姿は奇麗で穏やかそうな良いお姉さんだ。


「ドッコイセンさんハイヒール使えるなんて凄いねぇ。本当にCランク?」


「ガブさんの方が凄いです。私達ルシ夫が人間に負ける所を始めて見ました。ルシ夫ったら村を出る前にランドドラゴンと戦って負けたんですけど、1匹は倒したんですよ。」


 ほう、それは中々。


「皆さんはコイツの彼女なんですか?」


 俺がストレートに聞くと残り二人の女性は頬を赤らめながら頷く。魔導士のナアさんとシーフのニジさん。ナアさんが細身で黒の長髪、ニジさんは動きやすそうな服装に短髪で腰に刀を差している。二人共容姿は人並み以上だ。ルシ夫のスケベめ。


「うおっ!」


ルシ夫が急に起き上がった。


「おっ俺は負けたのか?」


ルシ夫は俺に気が付くと床に降り土下座して言った。


「師匠俺を連れて行ってくれ!結婚の事はゆっくり考えてくれていいから。」


というかいつの間に結婚を前提にお付き合いする事になっている?


俺はルシ夫の頭に足を乗せると止めの一言を言った。


「俺は(未だ)男だ!」


何時も読んで頂き有難うございます。

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