第4話 チーム・デューク
ふむふむ。よいしょっと。
ノイさんに抱き付かれたまま馬車を覗き込んで見るとと誰も居ない。どういう事?
「ねえ、ラヘル達は?」
「えっ?はい、若い二人は高い買い手が見つかったとかで、別の馬車で西の方に向かいました。」
しまった!そう来たか。
今からでは追いつけまい。いや夜は敵の馬車も走らないだろうから此方が夜通し走れば追いつける可能性もあるのだが、その場合暗くて見当違いの方へ走ってしまうというパターンも考えておく必要があった。
ここはラヘルには悪いが先に村人の救助を優先するか...
「分かった。取り合えず二人はこの馬車でレイバン迄逃げて下さい。そして街に付いたら真っ先に騎士団に駆け込んで今回の事件の事を報告して欲しいんだ。」
「デューク様は?」
「俺は他の村人達を助けに行く。」
若奥さんに何度もお礼を言われたが元々助ける積りである。
馬車に積まれていた保存食を少し分けて貰って彼女たちをレイバンへ向かって送り出した。
さてと、倒れている男達の落とした剣を拾い懐を漁る。
探しているのは笛だ。よく盗賊団などが合図などに使う。
やはり持っていた。
3個の笛を吹き鳴らしてみたが音色は同じだった。という事は仲間を判断する笛で間違いない。
そこから、また走って砦付近に戻った。
後は夜になるのを待って忍び込み、一人ずつ倒して行くだけである。
岩陰に寝ころび、空を見ながら夜を待った。
ふと気が付くと微かな地面の振動を感じるでは無いか?
馬だ、馬が3頭北の方から近づいてくる。
岩陰からそっと北の方角を監視した。
だが、そいつらは真っすぐこの岩目がけて馬を進めてくる。
「おーい、ガブー。平気だと思うけど大丈夫ッポ?」
鳥頭の獣人、クックが手を振った。
「何で、ここに居るのが分かった?」
馬を降りる3人は覆面冒険家デュークのPTメンバーである。
「はははは、何でって?昨日皆でAランク依頼受ける約束してたのにガブ来なかったじゃん。」
何時もヘラヘラ笑っているオマイが笑いながら言った。
頭がすっぽり収まるヘッドギアから束ねた髪の毛が腰の近くまで垂れているは髪を切るのを嫌がって切らないからだ。なんでも呪符を作る材料だから大切に伸ばしているそうだ。
しかし、こう見えてオマイはPT一の火力職である。彼の攻撃魔法は半端ない。
「それでわざわざ皆して貴方の村まで言ったのです、きっと忘れて誰かの手伝いでもしてるのだと思って。」
3人目は紅一点、白魔術師のアンナだ。真面目な性格を反映してか身に着けているのは地味なウエスタンスタイルでボタンもきっちり留めていて肌の露出が少ない。残念だ。
しかし、彼女が馬から降りると着地の衝撃で服の上から見てもあからさまに巨乳が波打った。いつみても世界の神秘だ…しまった、つい見とれていた。
「悪い悪い、奴隷狩りに会って村ごと誘拐されちゃったもんで。」
「ばっかだなあ、そんなの倒しちゃえば良かったのに。クㇽッ」
クックが喉を鳴らしながら袋から出した炒り豆を啄んでいる。
「そんなに豆ばかり食べてると喉が渇くだろう?これをあそこのサボテンにでも刺して飲んでこいよ」
俺はストローを投げて渡す。
「そうですよ、デュークの実力なら簡単だったでしょうに」
おっと、アンナまで俺を責めて来た。
「約束をすっぽかして悪かったよ。でもマスクはソニンの街はずれに隠してたしさあ、素顔で暴れるのってどうだろうかって悩んでいる内にドンドン馬車に詰められてったから。もう一緒に行っちゃった方が早いかな?って。」
「そうじゃ無いです。心配したって言ってるんです。」
アンナが頬っぺたを膨らました。
「さっき俺の実力なら簡単だって言った癖に。」
「もっもしかしたら病気で実力の十分の一も発揮できないとか、誰かを人質に取られて抵抗出来ずに拷問されているとか、突然脱皮が始まったとか...もぉ~一杯心配したんですからね!」
いや流石に脱皮はしないから。
「はははは、そんな心配は要らないって言ったんだけどさー、又一人で何か背負いこんで苦労しているんじゃないかと思って助けにきてあげたよ。」
持つべきは友である。
「はははは、それで、あの砦でいいんだよね?じゃあ爆裂魔法叩き込んでOK?」
「ノットOK!」
友達はよく選んだ方がいい。
「そうじゃ無くて、夜になったら忍び込むから少しだけ手伝ってくれよ。」
「夜は目が見えないからパスっポ」
とクックが言った。
そうだクックは鳥人間で夜目が全く効かないんだった。珍しい人種の上に、彼は更に特別で首から上以外は人間と変わらない。
あっ背中に小さな羽があったかも。
まあ大体ハトの様な首から上だけが鳥という作りなのである。
因みにハトそっくりなのに頭の天辺にはごく小さい鶏冠があったりする事を俺は知っている。
(つづく)
読んで頂いて有難うございます。
(改)句読点修正しました。




