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第32話 末路

翌朝。


ここは西都の大広場。貴族が演説をするお立ち台がある。


今朝は台周辺に早くから人だかりが出来ている。この調子なら直ぐに騎士団が呼ばれる事だろう。


人だかりの中心には丸太に縛られた哀れな半裸男性。口には何重も布が巻かれてる。


人々はその体を指さしヒソヒソ話し合ったり笑ったり。


また新たに若者が集団に加わり指をさしながら体に黒々と描かれた文字を大声で読み上げ始めた。


「私はパプティムス公の取り巻きで悪人です。公に指示されて奴隷狩りや隠し鉱山を使った脱税その他にも沢山悪い事をしました。私の名前はヤコン男爵です。だってさー、だっせー!」


ヤコンの背中側から別の男が声を張り上げる。


「こっちにも書いてあるぞ!稼いだ金でリーネン侯爵に金を貸し、借金のかたに20歳以上も年の離れた娘と結構しようと迫った変態です。実は侯爵が返金できない様に侯爵領の倉庫に火を付けました。…ひでーなこいつ!おい皆。何か投げようぜ。」



 直ぐに通報を受けた騎士団が来た。だがあのペンキは拭いても消えない。既にパプティムス公には魔女を使って王の後継者を呪い殺した疑いがかけられている。騎士団はその足掛かりとなるヤコン男爵を絶対釈放しないだろう。


「まあ、貴族何て面子だけで生きている様な物だからあそこまで恥を掻かされたら結婚も無理でしょう。加えてあの文章で大公からも疎まれる事間違いなし。二度と這い上がってこれないね。」


ヨエが腹を抱えて笑っている。やっぱりこいつ悪女だ。


「ヨエも貴族が嫌いなのか?」


「貴族を好きな奴なんているの?」


 むぅっ?そうは言った物のヨエはサラともオシエン改めイシュアとはとても仲良くしている。二人は貴族の娘だ、それも相当上位の。それとは矛盾しないのか?若しくは貴族社会にどっぷり属している貴族が嫌いという事だろうか?


「ヨエ、マジックペイントの魔力から辿られて捕まったりしないだろうな?」


念のため聞いておいた。


「そうね、念のため3日後には消すことにするわ。」


そう、それでいい。


次の日俺は一人でサラの様子を見に行った。



「だめだめ!入れる訳ないだろう?」


 やっぱ追い返された。強行突破出来るがその場合この門番のおっさんが首にならないかと余計な心配をする。俺のせいで仕事を首になったら可哀そうなので止めておいた。


 周囲をウロウロしていると一台の立派な馬車が通り過ぎる。


 次の瞬間目にも止まらぬ速さで馬車の下に滑り込んだ俺は自慢の握力で底にしがみ付いた。


 丁度足を掛けれる様な出っ張りがあったので足も突っ張ってがっちり底にへばり付く。


 屋敷内に入るとサラが窓から遠くを見ていた。彼女は下からするすると壁を登って来た俺に気が付くと驚いて後ろに転倒した。かなり大きな音がしたが大丈夫だろうか?


 「サラ成功したぞ!」


事情を話すとてっきり喜んでくれると思ったのにお尻を摩りながら浮かない様子だ。


 「ヤコンと結婚しなくて良くなったのはとっても嬉しいんだけど...私と貴方の約束はどうなったの?」


 えっ?何の約束?約束通り自由になったんじゃあ?…あれっ?もしかして駆け落ちの?!


 「えーっと、あれは男爵から逃れる為の方便だったのかと。」


 「最初はそうだったけど今は違うの!貴方達と別れてからずっとここで考えていたの。あのね、私は貴方が好きになったみたい。どうしても貴方の中の一番で居たいの!駆け落ちがダメなら正式に結婚して?」


 「ラヘルが…」


 「あら、村を出る時に応援するって言ってくれたわ」


 「アンナが…」


 「アンナはピュレーンを送りにエルフの国へ行ったでしょ。多分数年は帰って来れないわね。」


 「数年は長すぎだぞ?」


 「だって戦争が始まったから。そうそう、未だ一般公開されいない情報だけど今朝西のエルフ国と北西にあるジュア帝国が連合を組んで宣誓布告してきたのよ?今の時期エルフ国を訪ねて例え殺され無かったとしても戦争が終わるまで幽閉は確定ね。」


 「しかし。戦争中に結婚だなんて…」


 「こんな時だからよ。昨日ヤコンの事を父から聞いて一晩賭けてやっと説得したの。貴方との婚約の許可は貰ったわ。本当なら午後から私から貴方を訪ねて行こうと思っていたの。」


 そういって手渡された小箱の中には指輪が2つ。


 「婚約指輪よ。私の指にはめて。」


 慎重にやや震えながらサラの細いくて奇麗な指にはめる。


 「貴方の分は私が嵌めてあげる。」


 そう言ってサラは俺の指に指輪を押し込むと嬉しそうに俺の顔を両手で引き寄せ唇にキスをした。

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