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第29話 マリアムの秘め事

(改) 

 ラヘルを村に残し俺たち一行は来た道を西都へと引き返す。


 違うのは馬車が2台になった事と昨晩村に1泊したマリアムさんがPTに合流した事である。


 先頭を走る馬車は俺にクック(荷台)、サラ、イエン、オシエン、ヨエが乗っている。

 後方の馬車にオマイ、アンナとエルフの二人、マリアムさんとピュレーンが乗り込んだ。



 「はははは、実はマリアムさんに打ち明けなければいけない事があります。」


 「分かってる...実は昨日見ちゃったの。」


 オマイとピュレーンは一瞬目を見合わせた。


 「ガブと付き合っているんでしょ?」


 「はははは、へ?」


 「男同士でもそういう事があるって本で読んだことがあるわ。ガブったら貴方の胸をあんなに激しく揉んで...貴方も為されるがまま...。」


 ピュレーンが口を開けて放心している。


 「はははは、ちょちょちょっと違います!これを見て下さい!」


 オマイは乱暴に上着を脱ぎ去ると銀色の髪に可愛らしい声で言った。


 「私、ピュレーン姉さんの妹なんです!」


 マリアムさんは唇を震わせながら言う。


 「えっ そっそれじゃあ昨日のはリアルに男女関係?!」


 「それも違います!!ガブは私の事を男だと思ってますから!

  マリアムさん今度の旅で姉と一緒にエルフの国に帰る積りですよね?

  だからバレちゃう前に正直に話して於こうと思って。」


 「貴方も人探しでハニーへ来たのね。そしてガブは貴方の事を男だと思っている...。あれ?するとガブって男が好きなの?」


 「それに関しては恐らくですがガブは女の子が大好きだと思いますよ。」


 「じゃあお姉ちゃんも未だ女の子なんだー?うふふ、実はマスクを被ったガブ君に口説かれっちゃったし。」


 「デュークさん、いやガブさんに口説かれたんですか?ライバル多いなあ…」

 

 マリアムさんがため息を付く。


 オマイがぎょっとした様子で眉を顰める。


 「マリアムさん、もしかして?あれの何処が?」


 「身も蓋も無い台詞。だけどそうねぇー自信家で慣れ慣れしい所かなあ。私って冷たく見えるみたいでね皆さん距離を置きがちだったから。あっ、でもデュークさんの時は色々気を使ってくれたりもするからそこも良い所ね。オマイさんはガブに本当の事を教えてあげないの?PTメンバーなのに。」


 「私はこのまま…何も言わずに国に戻ります。なのでマリアムさん、ガブには内緒にしておいて下さい。」


 「言わないわ。ライバルが増えるの嫌だし。」


 「所でマリアムさんは何故出国を?」


 「私の場合は弟ね。結界の外で人間に攫われた見たいなの。里の戦士達がその人間の集落へ攻め込んだ時には既に売られていて。」


 「ハハス村事件ですね。という事は貴方があの名高き六侯のご令嬢なのですね。侯爵家の跡取りが誘拐されたとあってその後外交問題になり人間とエルフお互い外交官を派遣しようという事になりましたね。魔道家の長女として私が初代外交官として西都に赴任したのが2年前。」


 「ピュレーンさんが大公に捕まった事も、元を正せばあの事件だったのね。」マリアムさんが驚く。


 「アンナさんは最初からオマイの事を?」


 「ええ、知っていました。オマイに男装を進めたのも私です。オマイって軽くて人懐っこから見ていて心配になって。ただ変身魔法の媒体に本人の髪の毛を使ったら効きすぎちゃって、服を脱がないと元に戻れない厄介な体に成っちゃいましたけどね。」


 「とにかくガブには秘密で。」


 「分かったわ、代わりに私がガブ君の事を狙っているのも秘密よ。」


 こうして馬車で共有された秘密はガブの耳に届く事は無かった。...のだが。

 


 一方俺は御者席で幸せそうな顔でサラと腕を組んでいた。もちろん空いてる手は手綱をしっかり握っている。


 オシエンが馬車から顔を出した。


 「暇じゃ。」


 「くそ餓鬼よ。俺は今大人の幸せというお前には溶かす事もかみ砕く事もできない程硬くて美しい宝石で出来たキャンディーを噛み締めて咀嚼するのに忙しいのだ。という訳で中で大人しくお絵かきでもしてろ!」


 冷たくあしらった。


 「ぎゃー!」


 直ぐにオシエンの叫び声がする。


 再度顔を出したオシエンは黒いペンキで口の周りに大きく丸が描かれいて、まるで子供のおっさんみたいだった。


 「こらヨエ!子供相手にみっともないぞ。画材くらい貸してやれ。」


 俺が怒鳴ると俺にまでペンキが飛んで来た。


 「うるさいわね!これは私の命の次に大事な物なの。」


 まあ芸術家ってそんなもんか?


 ◇


 西都まで道のりで2回宿泊したがその度俺とオシエンの落書きコンビは宿に笑いを提供した。別に俺はいいのだがオシエンって若しかしたら次期女王候補なのにそれで良いのか?


 あと少しで都のゲートという所で前方から馬車がやって来た。


 まずいなぁ又パプティムスの息が掛かった刺客か?と身構えるとそうでは無かった。


「ちっ父上!なぜこんな所まで?」


 むむっ。どうやらサラのお父上の様である。上品な紳士だった、お初にお目にかかる。


「サラよく戻って来た。家出に関しては以上咎めはしない。だか結婚はして貰う。2週間後だ。」


「わっ私にはこの人が!」


 と言いかけたサラ。しかし俺がその口を押えた。


「ちょい待ち。2週間以内に結婚しなくても良いようにしてやるから家で大人しく待ってろ。」


”びたーん”


 思いっきり平手打ちを食らいました。


「貴方、私の事弄んだのね!あっちこっち触ってあんなに愛してるって言ったのにー!」


 えっ?触った?…Yes。親密に接触しました。


 あんなに愛してるって言った?…えっ?言った?言ったっけ?


 周囲の視線が痛い。穴が有ったら入りたい気分です。


 サラは泣きながら父親の馬車に駆け込む。しかし馬車が出る時あかんべーをしていたから若しかするとウソ泣きだったのかも知れない。なかなかやる。


 とにかく俺は約束は守る積りだ。直ぐに婚約は破棄させてサラを取り返す。それにしても馬車の中を見られなくて良かった。侯爵殿にオシエンを見られたらきっと大騒ぎになっていた所だ。


 後ろからアンナが近寄って来て言った。


「ねえ?これ多分報酬でないわよ。娘に手を出した慰謝料で棒引きとか言って。貴族ってケチだから。」


「構わないさ。貴族とは可能な限り関わらない事にしているんだ。」


「ガブは良くても私達が困る。オマイと私はマリアムさんとピュレーンさんを送ってエルフの国まで行きたいの。資金が乏しいわ。」


「じゃあまた闘技場で賭けるか?」


そう提案したが却下された。俺が強いのはバレているので賭けに成らないそうだ。


「じゃあクックにやらせろよ、あいつああ見えて物凄く強いぞ?」


「あっそれ良いわねー。じゃあ、金貨を1枚貸してくれる?」


いやちょっと、少しは進歩しようよ?

いつも読んで頂き有難うございます。

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