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第28話 オマイとオマイニー

 「ピュレーン姉さん!」


 ピュレーンを発見したオマイが駆け寄る。


 「あなた!オマイニーなの?その髪の毛、それに声は如何したの?!」


 オマイは服を脱いで上半身ブラだけになる。


 オマイに掛けられていた強力な魔法の効力が薄まり彼女は銀色の髪と美しい声を持つエルフ・オマイニーへと戻る。


 「オマイニー!」


 ピュレーンは目に涙を受けべながらオマイに抱き付いた。


 「姉さん、準備を整えたら直ぐに国元に帰りましょう。」


 「そうね、私も至急長老達に報告しなくてはいけない事があるの。」


 ◇ 


 白竜に跨ったマリアムさんがやって来たのはそれから2時間後の事だった。煙山へ来る前に後で様子を見に来て貰えるよう頼んで置いたのだ。

 マリアムさんには悪いがもう一度町に戻ってもらい捕虜だった人たちの移動用に馬車を手配して貰う。


 「ピュレーン、奴隷の人達に頼まれて助けにきたぞ。」

 

 俺がそう言うと久しぶりに会ったピュレーンは何度も丁寧に礼を言ってくれた。


 マリアムさんが戻って来てピュレーンと何か話している。エルフ同士の貴重なツーショットだ。アンナはマリアムさんの手伝いで魔女と魔道師達の素性や経緯を聞いて紙に纏めている。これは西都で金貨1枚を摩った罰である。半額の銀貨50枚は稼いでPTの運営費に戻すよう厳しく言ってあるので必死にアルバイトに精を出している。


 オマイはと言うと、ぼーっと立っている。


 そうだ!逃げられたさっきの筋肉野郎?に負けなパワーを身に着けよう、その為に筋トレする事にしたんだった。効率的に鍛えたいからまずは色んな筋肉の場所を知る事から始めよう。


 えーっと胸の筋肉は此処と頃これだよな。自分のを触ると分かりやすけど見えづらい。そう言えば背中とか見えないな。


 「オマイ!ちょっと来て。」


 オマイは素直に寄って来る。


 「じっとしてろよ。」


 そう言って胸の筋肉を鷲掴みにする。ぷにゅっ?


 「はははは、え゛っ?」 オマイが固まった。


 ダメだ。こいつ魔術ばっかりで全然鍛えてないから全く参考に成らない。ぷにゅぷにゅにゅ。うん、いくら揉んでも筋肉っぽいのに当たらないわ。


 「あー、お前じゃダメだ。他を当たるわ。」


 「はははは、えーん。ガブの大馬鹿!変態ーーーー!」


 笑い泣きしながら走って行った。笑うか泣くかどっちかにしろ、悔しければちゃんと筋肉をつけろと言いたい。


 ソニンの町に戻ると、ギルドマスターからピュレーンに議会での証言を嘆願された様だった。1週間後にエルフの国に戻る途中に王都にへ寄り、議会で証言するらしい。


 「と、いう訳でデューク君達にまた護衛をお願いしたいのだが。」


 ソニンの町ではマスクを付けさせて貰っている。サラは俺とマスクマンが同一人物で会った事に呆れていた。


 それから病人に子供、役立たずな絵描きを拾うと開拓村に移動した。



 開拓村では皆でピュレーンの無事を祝った。


 その後イエンとオシエンをレイバンまで送り届けようとしたが隠し鉱山や煙山での出来事をピュレーンから聞いたイエンが妙な事を言い出した。


 「思い直しました。王都に連れて行って頂けないだろうか?」


 「えーと、命狙われているんだよね?」


 「はい」


 「今戦えないよね?」


 「残念ながら。」


 「何しに帰るの?死ぬの?」


 「いいえ、」


 イエンの話を掻い摘んで言うとこうだ。


 『極秘であるが、オシエンは国王の落胤である(落胤とは隠し子の様な物です。落とし子とも言います。)次期継承者である王子達が相次いで病気で亡くなった事により(これは後日呪いの為である事が判明する。)パプティムス公の孫が継承権第3位までになり、オシエン(仮)姫は2位になった。当時の継承権第1位も別の落胤であったが彼は王都内で毒殺された。その直後に姫の母親からの依頼で王都から脱出した。』


 「私は代々姫の母君様の実家にお仕えした騎士です。喜んで任務を受けました。」


 「で、なぜ戻る事に繋がるの?」 と聴くとアンナが俺を馬鹿にした様に言った。


 「馬鹿ねー。」 …おいおい、どストレートな表現だなあ。


 「今からパプティムス公のお立場は厳しくなるでしょう。私や魔女たちの証言まで加われば極刑か島流しに会うかもしれません。大公家が没落すれば姫さまも安心して暮らせるという訳ですね。いや、継承権第一位なら次期女王の座も。逃亡していてはその機を逃す事にもなり兼ねません。」


 ピュレーンが丁寧に解説してくれた、ありがとう。緑と白のブラウスに薄いグレーのスカートがとても良く似合う。欲を言えばスカートはもっと短くてもいいかな。その細くて素敵な足が映えるから。


 「でも逆にやっきに殺そうとして来るかもよ?」


 「それもそうなのですが、実はソニンの町でレイバンに居る同士達と連絡が取れまして。レイバンも思ったほど安全ではないという事が判明した物ですから…。」


 「それならいっそ敵の足元で潜伏しようかと? 素敵、大胆ね!」ヨエが会話に入って来た。


 「ヨエ、お前は俺の顔を直すまではバケツを持って立っていろ!」


 「良いじゃない。どうせマスクを被って居るんだし。」 とアンナ。


 「酷いな。誰のせいで村の中までマスクを被って居ると?」


 「分かったわよ、ほらっ」ヨエが持っていた鉛筆を振った。


 「どうせまた何か違う模様に…」俺はブツブツ言いながらマスクを外す。ふう、涼しい。


 今度は笑いは起きなかった。


 「なんだ普通の顔じゃない。ぜんっぜん面白くない。」顔は面白さを表現する為の物ではない。アンナの後ろに回って両手でほっぺを引っ張り伸ばしてやった。


 「サラさえ構わなければ俺は西都に戻っても良いと思っている。」


 「私は貴方と駆け落ちしたんだから付いて行くわ。」 いやいや振りね、振りだけだから。


 「えっ?サラ様ってガブとそう言う仲なんですか? ガブって世間知らずなので大変ですよ?」


  幼馴染の田舎者に世間知らずと言われてしまった。地味にダメージを受ける。


 「大丈夫。私も世間知らずだから。」だがサラがはニッコリ笑って受け入れてくれた。あれ?サラっていい子じゃないか?出会いが最悪だと後で何が有っても良いようにしか見えないという何とかの法則?


 「それよりラヘルごめんね。ガブって貴方と結婚する予定だったって言ってたのに…」


 ラヘルが大笑いした。ぐすん、ちょっとは慌てたり、はにかんだりしてくれないと俺の立場がないのだが。


 「あー可笑しかった。サラ様? ガブは好きに使っていいですよ。ガブ? どうせサラ様最後には愛想付かされるのが落ちだから私は此処で待っててあげる。盛大に爆死してきなさい。」


 俺がラヘルに文句を言う前にサラが俺の腕を取り胸を押し付けて来た。小ぶりな胸が腕に弾力を伝えてくる。ドキドキしていると、そのまま部屋の外へ引きずり出される。


「ラヘルの許可も出た事だし、王都に戻っても私の事を守ってね。」


 返事は無言のyes。だってnoを言う口はがサラの柔らかな唇が塞いでいたから。開いた扉から皆が見ていた気もするぞ。


 次の日、アンナに呼び出され怒られた。サラを家に帰さないと騎士団やギルドに迷惑が掛かるかもしれないのに、ドンドン深みに嵌っていったいこれから如何する積りなのかと。


 まあ何とかなるさ。パプティム公の鼻の穴を明かすついでに全て丸く収めてみせるよ。

読んで頂き有難うございます。

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