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第22話 追跡×接近

(改) 誤字修正しました。

「スサノハさんは来れないんですか?」


残念ながら今はちょっと都を離れられないらしい。


アンナが陰でガッツポーズをしてたが、見なかった事にしよう。


 馬車が重いので残ったインゴットは銀行に預けていった。銀行で感じたのだが、Aランクギルドカードの効力って凄いな?さっそく、西都の冒険者認定が役にたった形だ。 


 軽くなった馬車に保存食や水、瓜、果物等を積み込み出発する。乗り合い駅馬車のルートは俺の頭に入っている。


こっちは4頭立てなので1-2日も追えば追いつく計算であった。

 


2日目は雨だった。


 クックと交代で御者をしながら駅馬車を追う。今はクックが当番だ。


「あのさあ、追いついても気づかれない様に後ろに付いて行くだけなんだよな?」


「はははは、それが何か?無事連れて帰ればピュレーンの捜査に騎士団が協力してくれるって言うから、絶対成功させなくちゃね。」


「だからさ、向こうには俺とラヘルの顔が割れているけど、クックやお前達の事は知らないだろう?」


「ふぁから、あに?」


干しイモを口に頬張ってリスの様になっているアンナが聞き返した。


「護衛なら近くにいた方が間違いないだろう?ちょっと追い抜いて誰か先の駅から乗り込んだらどうかと思って?」


意外といい考えだと皆褒めてくれた。


「じゃあ、3人の内誰が行く?」


「マスクを取ってガブが行けばいいんじゃない?ねえ。」


「はははは、ガブは面が割れてませんねー」


「ふふふ、私今でもデュークさんがガブだったなんて実感が無いくらい。」とラヘル。


結局言い出しっぺの俺が行くことに成りました。




「おい、そこの子。乗るのかい?乗るなら早くしておくれ。」


駅でコーヒーを受け取り、体を温めていた駅馬車の御者が俺に声を掛けた。


「ソニンの南にある開拓村まで行きたいんだが?」


「この馬車はソニンの次はレイバンだね。開拓村の近くで降ろしても良いが、物騒だ。ソニンで馬車を頼むのがいい。ソニンまでは銀貨2枚だよ。」


結構高いな。まあ仕方が無い。


「乗るよ、はい銀貨2枚。おっと、奇麗なお嬢さんと同室とは光栄だ、この砂糖菓子は出会いの記念にどうぞ。」


 何だか出来の悪いジゴロみたいだと自分でも苦笑しながらサラに挨拶する。


 しかしサラの様子がおかしい。顔色が青いし微かに震えている。


 「ちょっと失礼。」


 額に手を当てると熱い、高熱だ。


 ピシリと弱々しいが毅然とした態度で手を払われた。


 「無礼者。見ず知らずの女性の額に手を当てるとは失礼な。」


 非礼を詫びると俺は、馬車を待たせて駅で毛布を購入した。


 駅と言ってもそれは様々で、宿で在ったりグロサリーストアであったり、要は人が集まる場所を駅として利用しているだけだった。


 お金と一緒に商店のおばさんへ手紙を託す。仲間の馬車は少し離れた林の中だ。俺が馬車に乗ったら直ぐに連絡紙を回収しにくる手はずになっている。


『アンナ、次の駅に先回りして治療師の振りをしろ。ガブ』



毛布に包まり先ほど俺の渡した水と薬草を飲み込んだサラ、今は寝息を立ている。


もしかしたら、金を節約して余り食べて居ないのかも知れない。次の駅で何か果物でも買って食べさせるか?とにかく彼女には元気になって貰わないと困る。


雨が止んだ草原。未だ雨粒の残る草を蹴散らし走る馬車。轍は後ろへ後ろへとどんどん伸びて行く。


まずいな余り早く着くと準備が間に合わない。どうしようか?


そう思案していると、馬車が止まった。雨で小川が増水し、小さな橋が落ちていたのだ。


「ちょっと迂回して浅い所を渡りますので。」


御者のおじさんが済まなさそうに言う。


 小川沿いに5km程南に下ると樹の陰に何だか見覚えある立派な馬車が見えて来た。近くに放たれた馬がいる。あの馬車はもう動かないだろう、車輪が一つ割れている。


御者が馬車を止め、恐る恐る中を覗く。


「無礼者!」カン高い声がした。


そして中から何か飛んで来た。小さな靴?


続いてヨロヨロと若い男性が出てくるが、こいつが今の高い声の主だったら笑える。


男は低い声で息も絶え絶えだった。


「数日前に盗賊に襲われたのだが…逃げ切ったが不運にも負傷し、馬車も故障してしまった。もう食料が少ない。君達は駅馬車か?礼は弾む…この方をレイバンの…まで連れて行って貰えぬか?」


 どうやら意識が朦朧としている。討たれた矢が残っていて、そこから毒が回っている証拠だ。俺たちとすれ違った数日間に撃たれたのだとすると、随分長く苦しんだ物だ。良く耐えたと少しだけ称賛の気持ちが沸いた。


 申し訳程度に布切れが撒いてある傷口を覗いてみると、やはり矢じりが残っている。薬も無いし治療も碌にされていない。このままでは十中八九死んで終うだろう。


 俺はその男を抱きかかえると、ゆっくり駅馬車に運んだ。これで病人が二人だ。馬車の残り席は一つ。俺は壊れた馬車に戻り少女に言った。


 「おい、このまま飢え死にしたくなかったら馬車を移れ。貴重品は持って来い。」


 「貴方!私のバックを運びなさい。」


 予想通りの高飛車だ。どこの貴族の子女か知らないが貴族と拘わらないと誓ったばかりなのに全くトホホホな状況である。


 バックを運んでやり車上に乗せると、俺は御者の隣に座って御者へ銀貨4枚を渡す。


 「済まないが2名追加でお願いする。」


 こうして怪我人と高慢ちきなお子様が旅のお供に加わった。

いつも読んで頂き有難うございます。

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