第21話 これだから貴族は…
リーネン伯爵家令嬢サラさんを誘拐した容疑で逮捕されました。
騎士の一人が俺に言った
「リーネン伯爵家令嬢サラ様を誘拐した罪で逮捕する。」
馬車を降ろされ、馬車の中身を洗いざらい調べられる。
「隊長、大量の銀の延べ棒が発見されました。」
「お嬢様の姿は在りませんでした。」
すると、団長がスサノハさんと割って入って来た。
「デューク君、こんな置手紙がサラお嬢様の部屋にあったそうなんだが?」
『サラを攫った。ふはははは。デューク。』
「サラお嬢様の字ですね。」
ラヘルが断言した。
「やはり、そうだったか!」
通報者らしき屋敷の執事が悔しがっている。俺はいい迷惑である。
「ではサラお嬢様は何処に?もしかして、家出したいと溢していたから…」
「全員手分けをして探し出せ。騎士団は街中を冒険者は街の周囲を、執事さんは屋敷の人を総出で屋敷内をお願いします。」 団長の指示で皆が散って行く。
「ふうー、しかしデューク君。念の為サラお嬢様が見つかるまでは君の身柄は拘束せざる得ないな。なあに宿舎の中は自由にしていい。暫く休養しろ。」
こうして、俺たちは足止めを食らう事になった。
◇ ◇
「クックー久しぶりっ。あー、何もあげる物ないやー。食堂行ってパン屑貰ってくるね!」
「はははは、ラヘルちゃんって元気だね。」疲れ顔でオマイが言った。
「あれ?オマイも村に来た事なかった?」
「はははは、在るけどデュークが人前に出てくるなって…」
「悪い悪い、もうラヘルにはバレたも同然だからきちんと紹介するよ。所でアンナは?」
「はははは、昨日遅かったから未だ寝てるね。今日は休みの日だから。」
俺たちのPTには休息日が設けてある。休む日を作らないと無理して取り返しの付かない大怪我をする恐れだってあるからな。
恐れと言えば今俺が一番恐れているのはサラ嬢の安否である。万が一物とリにでも殺されて、死体にでもなって発見された日には、今度こそ問答無用で捉えられ挙句の果てには拷問され、やっていない事までやった様にされた結果一生牢の中。全く貴族は厄介だ。元々関わり合う気は無かったが、これ以降も貴族と接するのは極力避けようと改めて決意する。
「失礼するよ」
団長が入って来た。スサノハさんも一緒だ。
「サラ御嬢様の足取りが掴めた。家宝のネックレスを街外れの質屋で売ったそうだ。ネックレスは侯爵家が買い戻したが…」
「何か問題でも?」聞きたくなかったが、仕方なく訊くと、
「どうやらその金で東行の馬車に乗ったそうだ。」団長が苦い顔で言う。
「西都の出入りには身分証の提示が必要ですが、稀にチェックの甘い乗り合い馬車が居る事も確かです。」とスサノハさんが補足してくれた。
「…で俺たちに如何しろと?」これまた聞きたくなかったが仕方なく訊いた。
「侯爵直々のご依頼だ。私に拒否権が無い事を理解して欲しい。ご依頼内容は、娘の旅を見守り目的地に到着後速やかにこちらに送り届ける事だ。勿論、安全に。傷一つ付けず。」
「なぜ、直ぐに捕まえないかは分かって欲しいの。侯爵様としてはそう何度も家出されては困るので、二度と家出を考えて欲しくない、なのでこれを機に或る程度苦労を経験して貰おうかと。でも安全に連れ戻したい。と言った所かしら?」
スサノハさん、解説有難う。最初はさっぱり意味が分からなかったが、やっとやるべき事が分かった。詰まり護衛して戻ってくればこの件は後腐れなく完了という事だ。
「どうせ、ラヘルを村に送って行きますから序にいいですよ。オマイとアンナは如何する?クックは貸して貰うけど。」
「はははは、クックが居なくちゃ調査にならないなぁ。仕方が無い付いて行くよ。でもその報酬として、侯爵家様に調査のお力添えをお願いして貰えると助かるなあ。」
団長には何の調査か分からないので俺たちはパプティムス公爵家隠し鉱山で出会ったエルフ、ピュレーンの事を話した。勿論国王呪殺云々は伏せて説明した。
「なるほど、その少女を糸口に公爵家の悪行が明るみに出るかもしれないという事だな?公爵家の悪行を暴いて如何する?」
「はははは、メインはエルフの救出ですからー、暴いても何もしないですー。」
「そうか、では我ら騎士団がその先を引き継ごう。戻ってきたら人を出して捜索にも協力するから、悪行の情報は全て共有させて欲しい。いいかな?」
俺たちは協力を約束し、その日の午後には出発した。アンナは未だ寝ていたのだが、叩き起こして馬車に詰め込んだ。
さあ、家出少女探しに隠密護衛旅の始まりだ!
いつも読んで頂き有難うございます。
(改) 誤字修正しました。




