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第13話 チョークスライム

(改)句読点を修正しました。

 豪華な装飾の馬車の周りには当然いるはずの護衛達が影も形も見えなかった。


 そして追っている集団は見るからに悪そうな盗賊風。


 馬車も盗賊達も速度が速い。この馬車ではおいそれ距離を詰めきれない。すこし遠いが仕方が無い、俺はオマイに発砲許可を出す。


 「オマイ此処からでいい、ぶっ放なせ!」


 「はははは、それー!」


 放たれた爆裂魔法は貴族の馬車に目がけて一直線に襲い掛かる。


 「オ~マ~イー!ヘタクソ!」


 「なによ、デューク!オマイを責めないで!」


 「はははは、面目ない。」


 幸い追われていた馬車が右に舵を切ったお陰で着弾は盗賊団の先頭にどんぴしゃり。後続も巻き込まれて全員落馬した。


 しかし追手が全滅したにも関わらず逃走する馬車は速度を緩めずに走り去ろうとしていた。


 「はははは、追いかける?」


 「いや方向が逆だし、いいや。盗賊を縛ろう。」


 ◇


 半分くらい逃げられた。いちいち倒すの面倒なのでそいつらは放置した。ただし頭目らしき男だけはしっかり確保する。そして盗賊達を後手で縛って縄で馬車に数珠繋ぎした。


 「あーあ、こんなの連れてたら一番近い村までどれくらい時間が掛かるのやら。」


 思わず愚痴がでた。


 「頼む助けてくれ。俺たちは頼まれただけなんだ。」


 往生際の悪い盗賊達である。


 「じゃあ誰に何を頼まれたか教えてくれたらリーダー以外は開放していいけど。」


 実際一人くらいなら屋根に縛って持って行けるし、その方が速度が出せて嬉しい。


 盗賊達は我先に自白した。


 一昨日、領主の使いを名乗る男が黒い大型竜に乗ってやって来た。前金を払貰い明日通る貴族の馬車に乗っている人間を捕まえて連れて来たら更に10万ギタ金貨を10枚やると言われ、指示された場所で馬車を待っていると護衛の兵が離れて行くのが見えたので襲撃したらしい。


 「オマイ、この辺りの領主って誰だ?」


 「はははは、この辺り一帯は既にニオ西域大公の領地内だね。大公は温和で有名。ご高齢な大公を補佐する公子も人格者として知られている。妙だね?」


 「黒い竜と言えば貴方達の報告に在ったパプティムス公爵の隠し鉱山で遭遇したのと同じ色ね?」


 「白には及ばなくても黒い竜も珍しいわ。都の竜管理課に行って持ち主を調べて見ない?」


 「そうだなアンナ。それは西都に着いたらお願いする事にして、クック、中に居たのは男か?人数は?」


 クックは丸い目の玉をクリクリ動かしながら暫く考えていたが思い出したのか、


 「子供、御者の男ッポ」と答えた。スサノハさんがその感知能力の高さに感心している。


 「クック君、君も凄いわね。デューク君と一緒に騎士団に来ない?優遇するわよ、そうね例えば毎日お姉さんがお豆を食べさせてあげる。」


 「クルッポー」


 アンナがほっぺを膨らまして抗議する。


 「二人共私達のパーティーメンバーなので騎士団には行きませんからー!妙な勧誘は止めて下さい。」


 そんなアンナを見てスサノハさんが悪戯っぽく笑う。しかしその笑みも美しい。


 「ふふふ、デューク君は私の傍に居たい見たいだけどー?」


 行き成り片手で顔を引き寄せられスサノハさんの胸に押し付けられた。


 あーれぇー、幸せが向こうからから歩いて来た。頭の中で天使が飛び回ってる。


 「きっー、スサノハさん。何やってるんですか~!」


 スサノハさんがカラカラ笑う。


 「私より立派な物持ってるんだしアンナちゃんもやってみれば?」


 なにっ!?


 目を輝かせて待って構える俺。さあ来いアンナ!


 ”ズボッ”


 残念ながら顔にめり込んだのはチョークスライムでした。


 名前のチョークは黒板に用いる白い物ではなくて締め付けるの意味である。

 都では護身用にカプセル詰めされた物が結構な数が販売されていていると聞く。こいつを投げて顔に当てると首から上をすっぽり覆い息を止めるてくれる上に気絶すると勝手に離れてくれるので、便利な防犯グッズとして貴族の女性達に大人気の品である。


 そういえばレイバンで数量限定で売っていたと話していたな…ガクッ。


 息が出来ずに気絶した俺をクックが担いで馬車に投げ込む。


 「取り合えず待ち合わせの場所に行って敵の顔でも確認しましょうか?」


 アンナの提案で盗賊のカシラだけ縛って馬車に乗せると一行は待ち合わせ場所だという山頂へ向かった。


 その前にスサノハさんが何やらメモを取り出して書き込むと魔石をセットする。


 するとそれはスカイブルー色をしたハトの姿を形どると羽ばたきながら大空へと飛び立って行った。


「今のは?」


「騎士団への連絡よ、アンナちゃん。何かあった時状況が分かる様に時々ああやって連絡してるの。」


「私達の事探っている訳じゃないでしょうね?」


「あはは、勿論調査はしてるわよ、それも任務の一つだから。でもプライバシーに関わる事は知ったとしても報告はしないから安心して。貴方達の実力と王都や騎士団と対立する勢力に成り得るか?騎士団が知りたがっているのは其処だけだから。」


 ◇ ◇


俺は馬車の中で目を覚ました。


 チョークスライムの攻撃を避けきれなかったのかって?無茶言うな、目の前で突然投げつけられたんだぞ?いや、実際相手が賊なら用心していたから食らう事は無かっただろう。ちょっと鼻の下が伸びて居ました、ごめんなさい。


 馬車の外をみると盗賊風の男が一人と後ろにメンバー全員が両手を前で縛られて立っている。


 大体理解した。俺が縛られて居ないという事は、あれは縛られた振りだ。まあ暫く様子を見る事にした。


 暫くすると空から竜が降りて来る。予想通り真っ黒な飛竜だ。


読んで頂き有難うございます。



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