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第12話 盗聴

俺は額に汗を掻きながら御者席で馬を操る。隣ではスサノハさんがニッコリ微笑むでいる。


まあスサノハさん程の美人ならあんな口説き文句の100や200くらい当然聞き慣れている訳で、ご本人も社交辞令だと分かってくれている。


天気も良くて風もない、馬車で走っていてとても気持ちがいい。


「はい、オマイ。あーんして?」


 アンナが大声でオマイといちゃついている。やっぱりこの二人付き合っているのかな?


「デュークさんはお幾つなのかしら?」


スサノハさん、喋り方も大人っぽくて魅力的だ。


「じゅっ十五歳であります!」


いかん!思わずお笑いに出てくる兵隊言葉になってしまった。


「うふふ、お姉さんとお喋りすると緊張しちゃうの?リラックスするいい方法があるんだけど...知りたい?」


傍に依って来ると耳元で囁かれた。いかん意識が何処かにお引越ししそうだ!


 スサノハさんはそっと俺の左手を取ると優しくツボをマッサージしてくれる、あー気持ちい。


「クルクルクルッポー」


 屋の上が良いと言ってそこで寝転がっていたクックが警告音を鳴らす。ん?敵は何処だ?奴でも間違える事があるんだな。上空では白竜も待機しているし問題無いだろう。


 ◇


 《1日目の夜。宿屋にて。》


 部屋は俺とクック、オマイとアンナ、スサノハさんは個室に泊まった。


 アンナとオマイが一緒なのは何時もの事である。別にアンナとスサノハさんがいがみ合っている訳では無い。


 それどころかプレゼントだと言って奇麗な首飾りを貰ったアンナはスサノハさんとすっかり仲良しになっていた。俺はスサノハさんの社交能力を高く評価したい。俺やクックが1点とすると彼女はきっと1万点くらいの社交能力の持ち主に違いない。


 真夜中皆が寝静まった頃、宿にある小さな水浴び室に入る一人の人陰。


 その影は桶に水を汲むと部屋へと戻る。オマイだ。


 『取って来た。』


 部屋ではアンナがタオルを持って待って居た。


 『今温めるからね。』


 そう言ってオマイは魔石に呪文を込め投入する。そっと手で湯加減を見たアンナはタオルを絞るとオマイに言った。


 『さあ、拭いてあげるから背中を出して。』


 また、その様子を遠隔の魔法で盗聴している者がいる。アンナが貰った首飾りが実はマイクにもなっていた。


 隣の部屋でスサノハさんが呟く。


 「あらあら、この二人やっぱり付き合ってるのかしら?」


 『次はアンナの背中を拭いてあげるよ』


 『アンナ、また大きくなったんじゃない?』


 『そうなのー。もう肩凝っちゃって仕方ないのよ』


 『後で揉んであげるよ』


 スサノハさんは首を傾げる。アンナの会話相手はオマイの筈であるが何か違和感がある。そうだ笑い、あのヘラヘラした笑いが無い。あれは演技?


 『オマイ、髪も流しましょう。あら、オマイも少し大きくなって来たんじゃない。』


 「これ以上は聞いちゃダメそうね。」


 スサノハさんが耳に当てた貝殻を降ろそうとしたその時。


 『デュークに胸を叩かれた時はビックリしたよ。彼普段はあんな事しないから。』


 『何時まで隠すの?』


 「隠す?何を?」 スサノハさんは貝殻をもう一回しっかりと耳に当てる。


 『うーん、ずっとかなあ。どうせ姉さんが見つかれば帰らなくちゃ行けないから。』


 『私、オマイと別れたくないわ。』


 『デュークが居るじゃないか?好きなんだろ?』


 『あいつモテるし、あっちこっちよそ見が激しいし、それに貴方と私は親友でしょ?女同士の友情は不滅なのよ?』


 スサノハさんは貝殻を置いてため息を付く。


 「ふうー。なんだ敵の間者って事じゃないのね。それにしても...へぇー面白いパーティーだ事。顔を隠したリーダーに性別を隠した前衛魔術師。でも今聞いた事は報告書に載せないから安心して頂戴。」


 そう言って、彼女はベットに戻った。


 『…でも、エルフの国にはエルフ以外は入れないんだ。』


 『この髪とても奇麗、魔法が切れて本当の色になった時の方が好き。』


 『魔法は切れていないよ。言っただろう?口癖と同じで服を脱いだら元に戻る魔法なんだ。』


  ‥‥


 ◇


 3日目。俺が馬車の中でスサノハさんにあやとりの手ほどきを受けていると、クックが突然窓から顔を覗かせた。


 「デューク。襲われている!貴族の馬車!」


 急いで外を見ると遠くに砂煙らしき物を確認した。


 「オマイ、左だ。助けに行こう!」


 

読んで頂き有難うございます。


句読点を修正しました。(7/12)

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