好きを知った日
―――君の事が好きだ
私もあなたが好き―――
安っぽいなぁ
姉に勧められ全く興味のなかったドラマを見ながら私はそんな事を思っていた。
いつの間にか私の隣にいた姉は涙を流しながら見ていたが、正直それも意味が分からなかった。
ドラマが終わると
「いやー良かったねぇ」
どれほど泣いたんだよと思わず言いたくなる程、両目を真っ赤にした姉が私にそう言った。
私は無視して何処かに行こうと思ったが…
「ねぇあんたにはあんな感じの人はいないの? 」
その一言に私は少し疑問を持った。
「あんな感じの? 」
「だからさっきのドラマみたいな人だよ。言い換えれば好きな人って事」
この時私の中の疑問がさらに大きくなった。
「好きな人ってなに? 」
「好きな人って言ったら好きな人だよ。いないの? そんな人? 」
「いないもなにも……好きって何? 」
私は姉に最初に思った疑問を姉にぶつけた。
姉は少しキョトンとした顔を私に向けた。そんなに意味不明な事を言ったつもりはなかった私も同じようにキョトンとした顔を姉に向けた。
数秒たった後、姉は小さな溜息をつきながら私に
「分かった。私が思う好きについてあんたに教えてあげる」
と言った。
正直どうでも良かったが、聞かないと終わらないだろうなぁとそんな空気を感じた私は
「はいはい、分かりました」
と言った。
「いい、好きって言うのはね、何時でも何所でも会いたいなって思うような存在だったり普段気にしない様な所も気にしたり、自分を着飾る時にその人の事を思って考えてみたりとか…」
延々と好きについて語る姉のマシンガントークを
「はいはい」
よくあるリズムゲームみたいにタイミングを合わせて相槌を入れた。
どのぐらい語っていたかは定かではないが、話し終えたであろう姉が
「で、そんな存在はあなたにはいないの? 」
ビシッと効果音が出るのではないかと思うぐらいの勢いで私に人差し指を向けた。
ある程度話を聞いていたので考えてみると、1人思い浮かんだ。
「いるにはいるけど、それが好きって事なの? 」
「ええ~」
私の素直に思った一言に、姉は項垂れるように机に突っ伏していた。私はそれを見ながらさらに疑問が大きくなっていた。
次の日の朝
私は学校に向かうため、ある人と待ち合わせをしていた。
10分程待った位に待ち人はやって来た相手こそ、昨日姉が言っていた好きにピッタリはまった人物だった。
いつもならそのまま学校に向かうのだが、今回は違った。待ち人の隣に見知らぬ女の子がいたからだ。
私は何となく
「その子は? 」
と聞いてみた。すると・・・
「え、彼女! 」
伝えられた一言を私はオウムのように復唱した。その後も何か言っていたような気がするが、私は何一つ理解する事が出来なかった。
その後、待ち人は女の子と一緒に学校に向かっていた。
1人残された私はその場から動けなかった。すると、ポロポロと涙がこぼれて来ていた。
自分が何故泣いているのかわからなかったが、ふと昨日の姉の話が思い浮かんだ。
そして私は理解した。
―――ああ、これが好きって事なんだと…




